第5章196話:聖泉水、ゲット


「では、私も……」


ニナが飲み始める。


続いて私とアリスティが飲む。


おお……!


私たちの身体にも、色彩豊かな光が発生する。


ただ……


【不老の霊薬】を飲んだときとは違った。


あのときは、頭の中に情報が流れ込んできて、スキル獲得を知ることができた。


しかし今回は、そういう現象は起こらない。


ただ、シャボン玉のような光が舞うだけだ。


「すごいです。身体から光が溢れてきます!」


と、ニナが興奮していた。


アリスティは言った。


「お嬢様……これは」


「はい。スキルアイテムではないようですね」


と、私は結論づける。


【不老の霊薬】に近い現象は起こっているが、スキル獲得の情報が流れてこないので、スキルアイテムではないという結論だ。


(まあ、スキルアイテムは、もともと実在が疑問視されるほどの代物だからね。こんな身近に存在したりはしないでしょうね)


聖泉水が本当にスキルアイテムなら、もっとスキルアイテムのことが世に知れ渡っていてもおかしくはない。


伝説の代物、なんて扱いは受けないだろう。


この滝つぼに降りてくるのは、簡単ではないが、不可能ではないのだから。


「さて……私は聖泉水を汲んでいきたいと思います。ちょっと待っててくださいね」


そう宣言してから、私はタンクを製作する。


作り方がわかっているので、30秒ぐらいで5つ完成させる。


クレアさんが目を見張る。


「……錬金魔法って、こんなに速く製作できるものなの?」


その質問にニナが答えた。


「いえ……エリーヌ様が超人的に速いだけです。普通は、こんなスピードで錬成するのは無理です」


「そ、そうよね。いくらなんでも速すぎるもの」


クレアさんは苦笑しながら、尋ねてくる。


「で、それ何?」


「水を入れるタンクですね」


「タンク? えっと……新型の水筒みたいなもの?」


「はい」


私はゴーレムに命じて、タンクに聖泉水を汲ませていった。


5つ全て満タンになったので、私は満足げに微笑んでから、タンクをアイテムバッグに収納した。


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