第1章10話:キャンピングカー旅の開始
全ての説明を終える。
まとめると車内の設備は、以下のように、
運転席→トイレ→キッチン→テーブル・座席→シャワールーム→寝室→寝室
という順番になっている。
トイレが最も運転席に近く、
私の寝室が最後尾にある、という形だ。
(改めて思うけど、キャンピングカーってとんでもない車だね)
キャンピングカーは、自動車ではある。
しかし実際は、小さなホテルみたいなものだ。
少なくとも私はそのつもりで、この車を設計した。
できあがったものを見ると、なんというか……
もうここに一生暮らしたい気分だ。
「では実際に走らせてみましょう。シートベルトをつけてください」
いまだ絶句したままのアリスティに、そう告げる。
座席に座ってもらい、シートベルトをつけさせた。
私は運転ゴーレムに指示を出して、走行を開始させる。
キャンピングカーが走り出した。
時速30キロぐらいに到達する。
ほんの1、2分ほど走ったあたりで感じたことがあった。
(結構揺れるね……)
走り始めてすぐ、キャンピングカーは上下にも横にも揺れまくりだった。
ここが草原だからだろうか?
ぶっちゃけ、これは酔う。
乗り心地は快適とはいえなかった。
(改良が必要そうかな……)
私は頭の中で、改善案をいくつか思い浮かべる。
と、そのときだった。
「素晴らしいです……お嬢様」
ほう、と感嘆のため息を漏らすように、アリスティが言ってきた。
「やはりお嬢様は天才でした。こんな、こんな見事な馬車を開発されるなんて!」
馬車じゃなくて、自動車ですよ。
「この国は愚かですね。お嬢様のような逸材を、みすみす国外追放にしたのですから」
「そこはまあしょうがない気もしますけどね……」
このランヴェル帝国からすれば、私は犯罪者に過ぎない。
それが母の謀略であったとしても、他人から見れば汚職事件の犯人なのだから。
「ところで、何かわからないことはありませんか? 質問があれば答えますけど」
私が尋ねるとアリスティは答えた。
「そう……ですね。キッチン周りのことは、あとで改めて教えていただけると幸いです」
「わかりました」
「他の機能については、またわからないときにお尋ねしてもよろしいですか?」
「もちろんです。なんでも聞いてください」
そうして試運転は終了した。
走行テストは無事に済んだので、今後はこれに乗って移動することに決めた。
まずは下車する。
それからアイテムバッグにキャンピングカーを放り込んだ。
私のアイテムバッグの容量は大きいので、キャンピングカーのような巨大な物品も収納できる。
そして、いったん草原を出た。
森を抜け、街道に戻る。
街から離れたところで、アイテムバッグからふたたびキャンピングカーを取り出す。
運転ゴーレムを運転席に配置して、乗車。
いよいよ出発だ。
「では、発進!」
ゴーレムに命令を出して、街道の上を走行開始した。
こうしてついに、私たちの旅は始まったのである。
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