花と与平

進藤 進

第1話 憧れの君

「ギャーハハッハー・・・」

喧騒が狭い民家に響いています。


むせるような汗と、酒の臭い。


祭り以外での酒の味に。

男達はこれでもかと、喉を鳴らしています。


女達は。

宴会の料理や配膳に追われ。


遠巻きに眺めています。


霞んだ視界の中で。

ポツンと花嫁が座っています。


花婿の与平は。

廻りの男達に勧められるまま。


酒を煽り。

心の中で叫んでいます。


≪なんて、メンコイおなごなんじゃ・・・≫

チラチラと、花を眺めながら張り裂けそうな歓びを噛みしめているのです。


細い肩先。

小さな、あご。


ふくよかな頬。


何もかも。

与平が憧れていた。


大好きな。

初恋の女の子。


それが。

花、なのですから。

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