桜の花の舞う中で……
かず斉入道
第1話 梅の花が咲く季節は出会い(1)
「ああ、もう、こんな時期なんだ」
私は天を仰ぐように見詰め。
ある物を見詰めながら呟く。
「早いな」の言葉も付け加え。
それも自身が両足を力強く踏み、回していた自転車のペダルをこぐ行為をやめ。
自転車を止め。
私は自身の通っていた小学校の学区外に咲いていたあるもの達が立ち並ぶ並木を見詰め。
見惚れ。
感無量となり。
独り言を漏らす。
「うん、本当に綺麗……。綺麗だよね……。この辺りに咲く梅の木の花は毎年本当に綺麗に咲くよね……」と。
私がある物。
そう梅の花……。
ピンク色に染まりながら満開に咲いている。
梅の木の並木を呆然としながら見詰め、見惚れていると。
何処からともなく、少年の声……。
それも楽しい、嬉しそう。
そして涼やかな声音での台詞が。
私の言葉、台詞に連動するかのように耳へと聞こえてきた。
(お願い)
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