第拾壱話 ITの運用はすごく大変・・・大変です

リシュナちゃんとマオちゃんに仲間はずれにされ姉妹に加われなかったクソ雑魚アラサー社畜女はなんとか気持ちを切り替えて、続きを聞いた。



「そう言えば、ふたりが協力したら元の世界に還れる様に思うけど、今の感じだと戻れたとしても戻りたくない感じなのかしら?」



「そうですね。ワタシは戻る魅力を全く感じないです」



「私は仲間もいたけど、無理に戻りたいという気持ちにはならないですね。

 第一戻るための魔素を確保しようと思ったら、魔王から搾り取らないといけないだろうし、妹の命を賭けてまで試したいとも思わないです」



その返答を聞きながら、ふたりがまだここに居てくれるかなと思ってニヤニヤしてたらリシュナちゃんが話を続けた。



「それで、かなでが寝ている間にこれからどうすれば良いかを調べていたのですが、この国では国民や在留して良い身分をちゃんとしないと住みづらそうという印象を受けましたが、そうじゃありませんか?」



「たしかにそうね。どこで何をするにもすぐ身分証と言うか、公のシステムに登録されている必要があるわね」



「なので、そのシステムと言うやつに私達の身分を作ってしまおうと思います」



「ちょっとまって!?

 身分ってそんな『ちょっと作りたいです』でホイッと作れるようなものじゃないのだけど?」



「その点も調べました。この国のシステムとやらはなかなか書き込めるものではないのですが、人間が作業していて登録漏れやミスなどあるので、それを見付けたら現場の人が適宜修正しています。

 なので、その人物の権限を使って登録ができるという事が基本的な考え方です」



「まぁ、たしかにこの国のセキュリティというか運用にはそういった穴があるけど大丈夫かなぁ」



「ワタシには一時的に人を操れる魔法がありますから、魔女の隠蔽する魔法でその登録できる場所へ入り込み、ふたり分の身分を作ります」



「そんな感じですね。今日、魔王を連れ帰った時にやったようにこの国の人間には少量の魔力での魔法でも十分隠密行動ができると判断しています」



「たしかに、そこまでできちゃうなら、実際に身分を作れそうだけど・・・」



そう言いながら二人の計画に穴がないか心配になったけど、どうせ今のままでは遠くない未来に不法滞在か何かで問題になるはずだから魔法でなんとかできちゃうならしておいた方が良いなと思った。



「なので、月曜日に一緒に役所へ行って欲しいのです」



「たしかに、まだふたりだけで行動するのは怖いわよね。

 それくらいいくらでもするから、安心して。

 どうせ使えていない有給休暇ゆうきゅうが溜まっているから、適当な理由で1週間位ぶち抜きで休んじゃうわよ。

 ふたりがここ日本で暮らせるようにちゃんとやりましょう!」



「奏が協力してくれて嬉しいです。ずっとここ奏の家に居られるように早く整えましょう」



「魔女に同じくです。ワタシもここカナデさんの家にずっといたいです」



なんかニュアンスの違いを感じなくもなかったけど、問題はなさそうなので気にしないことにした。

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