ノンケのアラサーOLだけど異世界からやってきた最強の魔女と災厄の魔王と3人で百合ハーレム生活を送ります(旧題:迷い魔女といまそかり)

したらき

第壱話 異世界から来た魔女

「あのハゲ、ぶっ殺してやるー!」



今は金曜の夜で、もうちょっとで日付が変わるという時間。あたしがこんなに荒れているのは、ハゲこと直属の上司の牧島まきしま課長に退社時間を知らせるチャイムが鳴り響き『さぁ、これから帰るぞ!』と思っていたところに月曜朝イチの会議に必要な資料作りを指示され、渋々作り始めたら10分後には指示した当人が退社していなくなっているという状況になっていたからだ。


こんな事されたら誰だってキレますよね?


むしろ、キレない方がおかしいまであると思います!


仕事が終わったのが23時過ぎで、会社から自宅までが近いから日付が変わる前に帰ってこれたのは救いなのか?やっぱり救いはないのか?という判断も付かない。


普段はお酒を呑まないのだけど、鬱憤を晴らそうと駅前のスーパーで半額弁当と一緒に買ったチューハイ1本(アルコール度数3%)を飲みながら歩いていたら、アパートに着くまでに出来上がっていたらしい・・・いや!いくら強くないとは言え、こんなジュースみたいなもので酔うはずはないので酔っていない!


QED!!!


いつもよりほんのちょっぴりテンションが高い気がする・・・けど、気のせいだし、足がふらついた気がするのはきっと地震があったんだ。ニッポンは地震大国だからしょうがない!


地震はどうでもいいけど、家に帰ったら真っ先にやることはPCの起動です。PCを起動しないと何も始まりません。



今日は面倒になってきたので、メールをチェックしたらシャワーを浴びて寝る!


後のことは明日のあたしに任せる!


頼んだぞ!明日のあたし!



なんて思考がちょっと陽気になりつつベランダに繋がる掃き出し窓のカーテンを閉めようと近寄ったら、ベランダでけたたましい光の暴走が始まった。あまりの眩しさに目を閉じ、数秒経って光が収まったところで目を開けると、ひとりの美女がうずくまっていた。



「あなた!大丈夫!」



「○▼※△☆▲※◎★●○▼※△☆▲※◎★●」



「え?どこの言葉?

 あなた、日本語わからない?」



「○▼※△☆▲※◎★●」



「これは困ったわね・・・」



『・・・妾の声が聞こえておるか?』



突然脳内に呼びかける声が聞こえ、うずくまっていた美女がこちらを向いてきた。



「え?あなたの声?」



『そうじゃ、意思疎通の魔法で直接頭へ言葉を送っておる』



魔法というのが信じがたいけど、どうやら現実に起こっていることの様だ。



「あたしの言っている事も理解できているの?」



『ああ、簡単な言葉ならわかる』



たぶん理屈とか考えたら負けなんだと思う。あと、酔いがさめた。



「とりあえず、言葉が通じるなら良かったわ。

 ここは寒いから部屋の中へ入りましょ」



『うむ、助かる』




~~~~~~~~~~


『妾の名はリシュナ、リシュナ・レヴェルトと言う』



「あたしは百田奏ももたかなでよ。

 ちなみに、奏が名前で、百田が家名。

 この国では家名が先にくるの。

 リシュナちゃんは、リシュナが名前でレヴェルトが家名ってところかしら?」



『その通り、リシュナが名で、レヴェルトが家名じゃ。

 それと礼が遅くなったが、助かったぞ。感謝する。

 ところでだ、ここは魔素が少なく意思疎通の魔法を使い続けるのはしんどいのじゃ。

 この国の言葉の書かれた書物など貸してはもらえぬか?』



「本は持っていないのよね。代わりにこれでどうかしら?

 これはタブレットと言って厳密には違うのだけど、とりあえず書物みたいな働きもする物だと思ってもらっていいわ」



『なんと!?これはただの板みたいなのに、触るだけで次々と絵が変わっていくのじゃな・・・』



「それで、こうして、こう。

 これで電子書籍のアプリが立ち上がって・・・つまり、書物みたいなものね。

 ここをこんな感じで操作していくと次のページ、続きに変わって、逆にこうすると前のところに戻るから」



『おおっ、何じゃこれは!?

 神から与えられた様な至宝ではないのか?』



「これはちょっと高いけど、この国の人間なら普通に1ヶ月も働けば買えるくらいありふれているものよ」



『なんと!?

 ここは神の国なのか?』



「神の国というよりは、不幸な社畜があふれる地獄みたいな国だと思っているわよ」



『お主、清潔できれいな服を着ておるが、本当に地獄なのか?』



「たしかに地獄は言い過ぎだったわね。でも、誰もが幸せを感じている様な夢のような国じゃないわ」



『そうなのか・・・たしかに、妾の国の王族にも何不自由なく生きておるというのに、自分は不幸だと言ってはばからんヤツもったし、無い物強請りというものかも知れんな』



「と、清潔で気付いちゃったんだけどリシュナちゃん、臭いわよ。

 書物の前にお風呂に入りましょう」



『なに!?風呂じゃとっ!?

 あのお湯・・・適度に温めた水を大きい桶や堀に入れて水浴びをするあの風呂のことか?』



「そ、そうね。それ以外にお風呂って知らないわね」



『もしや、お主。王族か高位貴族なのか?』



「ふふっ、なにそれ。あたしはただの一般人よ」



『それは、この国の人間は皆風呂に入っているのか?』



「そうね、シャワーで済ます人もいるけど、ほとんどの人が毎日入っていると思うわよ」



『なんということじゃ。ほとんどの人間が毎日風呂に入れる国があったとは信じられんぞ!』



「驚くのはそのくらいにして入っちゃいましょ。

 あたしもさっき帰ってきたばかりでこれから入るから一緒に入っちゃいましょ」

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