第8話 2階層
僕は思案に耽っていたが、ワーウルフがク~ンと甘えるように僕にここだよと知らせてきた。
そこには魔石が4個落ちていた。
「何だ?お前達は4匹も相手にしていたのか?そりゃあきついよな。よく頑張ったな。休んでね」
縦に首を振る。
何もいないようなのでレイラに名前を教えて貰い、ワーウルフをカードに戻した。
もしもここに璃音がいたのならばこう言っただろう。
「斗升君ごめんなさいね。どうやらここは近いうちにランク2に上がるようね」
しかし璃音はここにおらず、斗枡は今の状態が異常事態なのだという事を教えてくれる人がおらず、こんなもんなんだなあと思っていた。
どうやらここは1階層の最奥だったようで、魔石が落ちていたその先に階段と思われる場所が見えた。
僕が先に行こうとしたのをレイラに止められ、レイラが先を進むと言い、ウォーリアーに殿を任せる提案をしてきた。
反対する理由も無いのでレイラの提案を採用した。
そして2階層へと降りたが、いきなり襲われた。
「ゴブゴブ!」
レイラが棍棒を振るとスパーンと首が飛んでいき、1秒ほどで霧散するとその場にカードが残った。
ウッシ!
カードにはゴブリンウォーリアーと有った。
なるほど。
このラビリンスは1階層がランク1で2階層がランク2なのね。
試験は最奥にあるメッセージを見る事になっているけど、ここには勿論ない。
流石に2階層の最奥が終わりだろうか。
ウォーリアーが2体襲ってきたが、1体へは即時に反応したレイラが対峙した。
「僕もやってみるよ!危なくなったら助けてね!」
璃音さんからきのう渡されたコンバットナイフと、僕自身のコンバットナイフ(父の使っていた物で家にあった)計2本をサブウエポンとして持っている。
僕がスタートボックスの中敷きの下にあったコンバットナイフを持っていかなかったから、去り際に璃音さんが追い掛けて渡してくれたんだ。
良い人だよね!
僕も剣以外にサブウエポンがないと不安なのでコンバットナイフを2本身に着ける事にしたんだ。
僕は父さんの剣を握り、中学の時に体験教室で習った剣道を思い出して上段から斬り込むと・・・スパーン!
気持ち良い位縦に二分された。
今も朝素振りだけはしているが、この剣は凄い!
さっと魔石を拾いリュックに入れる。
スパーン!スパーン!スパーン!
奥に進むにつれウォーリアーがドンドン来るが、僕とレイラは交互に倒していく。
僕は首を切り落とし、レイラは野球のボール宜しく頭を打ち飛ばしていく。
レイラは多分ゴブリン10体分の力があるから強いんだろうけど、僕の方は実力なんだ!と勘違いしてはいけないと自分に言い聞かせる。
面白いようにさくさくと倒していたから忘れていたけど、僕の力じゃなくてあくまでも父の残したこの業物の剣の力だ!
(注・当時の自衛隊が探索者となった隊員へ与えた数打ち品です!レア度としたら最低レアのR)
折角の初心者用ラビリンスだから経験を積みたいと交互に戦っている。
うーん・・・弱くて話にならない。
ウォーリアーはランク2の魔物のはずだけれども、こんな簡単に倒せられるって事は初心者用ラビリンスの場合、魔物が弱体化しているんだろうな!
本来のランク2はどんなだろうか!?
って剣がドロップしたな!うん。
確かゴブリンウォーリアーは偶に剣をドロップするってラビリンス攻略サイトに出てたな。
「レイラ、この剣を使うかい?」
「良いのでしょうか?」
「それと僕の予備武器であるこのナイフをウォーリアーに渡すよ」
「なるほど。分かりました。有り難く使わせて頂きます!」
ウォーリアーも嬉しそうにしている。
奥に進むがレイラがさくさくと倒していくから楽なんだよね。
おお!2本目の剣が奥の部屋で出たな。
剣はウォーリアー行きだ。
そこから少し進むとウォーリアーが3体とゴブリンが10体出て、乱戦になっちゃった。
僕のウォーリアーは少し傷を負ったけど、それでもゴブリン2体を仕留めていたな。
階段が見えたので迷わず3階層へ降りる。
僕は話しをちゃんと聞いていなかったか、勘違いから2階が最奥になると思い込んでいた。
まあ、2階の感じから問題ない強さだよね。
うん。
さっさと試験を終わらせて帰ろう!
レイラは魔物を倒す度にプルルンしているから目に毒だ。
トレーナーだけなので、突起が見えちゃう。
なにのって?
そりゃあ果実の先っぽだよ。
さて、3階層が終点だと嬉しいな。
その頃・・・僕の後ろから入った人がいて、2階層から3階層へと続く階段の所にあるお題を見付けた。
お題の答えが書かれたボードは魔物により倒されており、そのボードは裏側を向いていた。
斗枡は気が付かなかったが、その探索者は気が付いた。
また、誰かが下に降りる様子がちらっと見えたが、異常事態だと理解し急いで入り口に引き返した。
報告を受けた自衛隊員は不味いと判断し、ラビリンスの入り口にアクシデント発生により一時閉鎖の看板を立て、3階層へ降りた探索者を救援するべく急ぎ師団に連絡するとラビリンスの中を走って行ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます