第6話 レイラ初戦闘

 僕はハッとなりホルダーから他のカードを取り出した。


 そしてワーウルフ、ゴブリンウォーリアー、ゴブリン5体を召喚した。


 コスト制限一杯だ。

 試しに6体目を出そうとしたが頭にアラームが?鳴り出来なかった。


 これは璃音さんに言われたんだ。

 勿論知識として知ってはいるけど、経験しておかないといざと言う段でパニックになり兼ねないから、コストオーバーになる分のカーヴァントを召喚しようとしなさいと。


 璃音さんは良きアドバイザーでもあるね。


 実際はランク2のカード1枚と、念の為手元にランク1を控えさせておけば事足るらしい。


 今日は早いのもありまだ誰もいない。

 なぜ分かるかというと、1枚目の扉がその役割で、現在の入場者が何人いるかどうかを知る手立ては入口にディスプレイがあり、今何人が入場中か表示されているんだ。


 ラビリンスの入口にて入場者登録をするのだが、それは出入り口のカードリーダーにカードを翳してピピッ!とする。

 それで分かるようになっているんだ。



 このラビリンスは2階層構造で、レイラとウォーリアを残して他のカーヴァントには魔物を狩って来るようにと、魔石等のドロップを拾って戻るように伝えた。


 ペアを組ませ、もしもペアを組んだ者が殺られたら僕の所に逃げて来るようにと伝えて解き放つ事にしたが、ゴブリンは話す事が出来ない。


 ウォーリアーは頷いたりブヒブヒ唸っているのと、手振り身振りからこちらの言う事は分かるらしい。


 ゴブリンの知能がかなり低いのだけれども、僕はゴブリンを使役する時の注意についてちゃんと調べていなかった。


 ワーウルフも辛うじて指示が分かる感じだ。


 見兼ねたレイラが僕が理解出来ない言葉を発すると、ゴブリン達はペアを組み駆けていった。

 各々の手には粗末な棒が握られている。


 基本的にこのラビリンスの魔物は単独行動だ。

 カーヴァントになった時点で少し補正が掛かり、同ランクの魔物ならよほど強い個体でない限り力で上回るはずだ。


 ましてやペアを組ませているから、こちらのカーヴァントが余程アホな個体か、ランク上の奴が出ない限り大丈夫だろう。


「よし。僕らは2階層を目指そうか」


 地図は璃音さんに渡されて、昨夜必死に覚えていたから進む方向は分かる。


 少し進むと戦闘の音がした。

 送り出したゴブリンが戦っているのだろう。


 程なくして1匹のゴブリンが現れた。

 棍棒を持つウォーリアーに倒せと指示をするとキュイーンと言うか、ゴブゴブと唸りながら駆けていった。


 ゴキッ! 


 130cm程とゴブリンより1回り大きい僕のウォーリアが棍棒を振るったが、見事にゴブリンの頭に当った。

 棍棒が当たったゴブリンは吹き飛んでいたが、その首は明らかに明後日の方向に曲がっていた。


 吹き飛んでいる最中にそのゴブリンが黒いモヤに包まれたかと思うとポンッ!と音がして消えていった。

 そこには先程のゴブリンの姿が描かれているカードが有った。


 ウォーリアーはそれを拾うと恭しく・・・レイラに渡した。


 レイラはウォーリアーの頭を撫で僕にカードを渡してきた。


「御主人様、この子がカードを得て来ましたのでお渡しします!」


 僕もウォーリアーを褒めたけど、その感情はよく分からない。


 3つの隊と言うかペアは各々魔石や棍棒を拾ってきた。

 よくよく考えるとレイラは武器になりそうな物を何も持っていなかった。


 棍棒を僕に渡そうとするけど、はっきりいうと武器以外では薪にする以外の活用方法を見出す事が出来ない。

 つまり武器として使い潰す以外無価値だ。


「レイラが使ってよ」


「畏まりました」


 よし。これで無手ではない。

 ウエストポーチにビー玉程の魔石を入れる。


 ドロップを受け取ると3組にもう一度出撃を命じようとしたが、レイラが通訳をしてくれるから楽だ。


 その2分後だろうか、1体のゴブリンが現れた。

 レイラが僕に従属するよう話したようだが、顔を真っ赤にしながら突っ込んで来た。


 レイラは馬鹿!と唸ると足元に落ちていた石をそのゴブリンに投げた。

 ヒューン・・・バコッ!

 ゴブリンの頭が弾け飛び・・・フラフラと頭部のない状態で3歩進むと霧散してカードがその場に残った。 


 次はレイラを中心にして戦わせて実力を知りたいな。


 レイラは指示を仰ぐかのように僕の顔を見る。


「レイラの実力を知りたいな。勿論やばくなったら助けるから!」


「分かりました!あのう・・・後でその・・・ゴニョゴニョ」


 レイラはどこで仕入れた知識?といった感じで敬礼をした。


 後で・・・何だったんだろうか?聞き取れなかった。


「じゃあ武器はどうする?僕の剣を貸そうか?」


「駄目です!いざとなった時に御主人様に武器がないと!武器が必要なら私はこの棍棒を使います!」


「じゃあ僕の側にいて魔物が近くに来たら倒して!ってゴブリンは同族だよね!?大丈夫かい?」


「どうしてですか?私は先程御主人様の元に降るように伝えたんですよ!拒否するなんて不敬です!だからこの中にいるゴブリンは敵ですし、私とは違う族ですから駆逐します!」


「お、おう!た、頼むよ!」


 レイラは過激?苛烈?のようでその気迫に気後れした。


 しかし、僕達が動き出すと大怪我をしたワーウルフ達が戻ってきたのだった。

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