シスコン鬼ぃちゃん

Iceman

第1話 鬼王、愛を知る。

「鬼王!貴様はここまでだ!」


「ここまで?笑わせるな。我は貴様を超えてさらなる強さを手に入れる」


「お前は俺には勝てない。家族、兄弟、同胞をその手で殺したお前はな。」


「家族?兄弟?ふっこれだから人間は、情というくだらないものにすがる。今までの強者もそうだった。一言人質という言葉を出せば躊躇しその隙を突かれ死ぬ。そこまでの努力が水の泡だ。我はそのすべてを切り捨て武を極めた。今我がここにいることが情がくだらないことを証明している!」


「くだらないわけがないだろう。この世界で最も尊いものは『愛』なのだから」


「聖剣エクソカリバー!!!!!!」


(このままでは我は聖なる力で魂ごと消滅してしまう。せめて魂だけでも。。。)


「ぐああああああああああああああああああああああああああ」


「鬼王、新たな人生では家族を愛せ。それが貴様の犯した罪の償いになることを祈ろう」――――――――――――――――――――――


勇者に心の臓を突かれ鬼王としての鬼生を終えた我は知らない声を聴き再び目を開いた。そこは見覚えのない天井で見覚えのない人たちの顔があった。


「明人くーんパパですよぉ~べろべろばあ」


(パパ?え、我が赤子になってるー!!!!!!!)

どういうことだ、これは、死ぬ直前魂だけでも助かれと願ったからなのか、いや、そんなことはない必ず理由があるはずだ。もしかするとあの勇者のせいかもな。


「明人くーん?」


なんだこの腹立つ顔は!


「こら、お父さん怖がってるでしょ」


「怖がってるわけないだろ!パパに興味があるだけだ!ねえ~」


「そろそろご飯の時間よ、明人」

よいしょという掛け声とともに体を持ち上げられた

母と思われる女の乳房が口の中に入り甘い液体が口の中に入ってきた。


(さすがに中身が50歳越えの我にとってはなかなかきついものがあるな。恥ずかしくて死にそうだ)


しばらくは耐えなくてはならないのか・・・・・・


(あのクソ勇者め!次あったときは覚えていろよ)


2年後、妹が生まれた。


勇者が言っていたことを思い出した。

とりあえず見るだけ見に行ってみた。

俺のおさがりの赤子用のベットで寝ている。


柔らかそうなほっぺたをしている。

つんつん。

この世のものとは思えないくらい柔らかい。

「はっ」

つんつんしてた指を小さな手で握られた。


(なんて愛おしいんだ、これが勇者の言っていた愛というものか。この子を守りたいという感情がここをの底から湧いてくる。勇者に感謝だな。俺はこいつがどんなことになっても守り抜くと誓おう)


こうして俺のシスコンライフが始まった。



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