真円を裁る切り絵師の刃先より 生る泡・鯨・海・宇宙

真円を裁る切り絵師の刃先より 生る《ある》泡・鯨・海・宇宙


 子供のころ切り絵にはまっていた。子供なので切り絵用の用紙が買えなかったので、障子紙を墨汁で一面に塗って乾かしてから、カッターで切っていた。切り絵のハウツー本を買って読むと「曲線は切りにくいので直線中心で」などと書かれていた。なので切り絵は全体にカクカクとした描線になるというのが常識だと思っていた。ところが大人になって知り合った切り絵作家さんは素晴らしい早さで滑らかな曲線や円を切っていてびっくりした。紙は平面なはずなのに奥行きさえ感じる、繊細な生命さえ感じる存在になる、まさに紙、じゃなくて神切り絵師!

 「生る」を「ある」と読むのは特殊な読み方で、神や天皇など神聖なものが生まれる時に使う。泡や海は「古事記」の国作り神話のモチーフ。泡といえば、宇宙は泡構造をしているということらしい。

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