第24話
かぶと虫
夕方、インターホンの音に珍しいなと首を傾げる。裏の奥さんが訪ねて来た。
おたくの裏庭に蜂の巣が三つ、蜂がいっぱい飛んでますよ……!
えーっ、嘘、蜂の巣?
キッチンの勝手口から続く、裏庭というにはささやかな洗濯干し場に突然起きた一大事。
休日出勤で仕事を早めに帰宅していた私は慌てて車の鍵をもう一度手に取る。
妻 行くよ!薬局着いてきて!
夫 薬局ぐらい一人で行けよ!
妻 もう飲んでしまったの!缶酎ハイ……
夫 ……。
たまたまこの日は体調管理の為に、昼呑みはしていなかったらしい夫に運転を任せ、
夫を連れて薬局へ
蜂の巣ジェットを2本購入。
もう18時半、
早くしてよ、日が暮れる!
明日になって蜂の巣が大きくなったらどうするつもりなの!
蜂の巣駆除はあなたの役目だとジェットを押し付けると、えー……と嘆く夫の為に防具を用意する。
防護服は急には無いから……そうだ!カッパ!
お皿を洗う手袋に、不織布マスク、
眼球を守る為にゴーグルが欲しいけど見当たらないからとりあえず夫の愛用の老眼鏡を渡した。
これで完璧!全て用意ができた!
妻 早くしてね!
あいからわず腰の重い夫
妻 早くしてよ!
防具服は見るだけで暑そう、もう夏だもんね。
蜂の巣と蜂達にジェットを噴射する夫に窓越しに指示をする私の役目は司令塔。
今まで見てことのない機敏な動きの夫。
それを見てハッとする私……
妻 頼れる……!
ようやく汗だくで部屋に戻ってきた夫を笑顔で出迎える。
妻 ありがとう!今日はお礼にアワビよ!
夫 ……通風なのに?
微妙な表情の夫にまた腹が立ったけど、まぁ今日のところは許しておこう
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