第6話 スキルを試す

 な!きょ、強化フェスだと……


 そしてこの最後の一文『なお、フェスは3日後正午迄です! 』


 銀貨3枚で(中)以上がでるのであれば効率はいいと思うし、全部(上)以上を狙える。 引きたい……めっちゃ引きたい!! もう引くしかない!! 


 でも俺の全財産はあの穴の中に……引きたいけどお金はない……どうする……一体どうすれば……


 チラッと借金の2文字が頭をよぎる。ダメだ無職の俺に金を貸してくれる奴なんている訳ない……


 いやまてよ? 3333回も紙を引いたんだ、俺はもうそこそこ強いはず。このフェスがこなけりゃソロで稼ぐつもりだったんだ。


 明日の朝一番でギルドに行ってクエストを受注しよう! 一番報酬が高いクエストを受注して3日以内にクリアして報酬を貰う! 


 取り敢えず、今することは家に帰ることだな。それじゃ試しに瞬間移動+を使ってみよう。


 これを使えば家まで一瞬で戻れるはず。説明書きにもそう書いてあったと思う……


 瞬間移動の紙をもう一度確認する。


 ★★★★【瞬間移動+】実際に行ったことがあり、ある程度のイメージができる場所に瞬時に移動することができるスキルと説明書きに書かれている。


 重ねることができたおかげで発動条件が緩くなっている。重ねる前は的確にイメージができる場所と書かれていた筈。


 とは言え初めて使うスキル。自分の家の中をしっかりとイメージしながら瞬間移動!と念じる。


 プシュンという音ともに、俺は我が家の真ん中に立っており思わず声を漏らす。


「す、すげぇぇぇ……」


 本当に瞬間移動できた……。疑ってた訳じゃないけど、改めて使ってみると凄いなこれ。


 ……そうだ! 


 他のスキルも使ってみよう。ずっと紙ばっかり引いて試し使いなんてしてなかったし、クエストに行く前にどのスキルがどんな効果があるのか知っておく必要がある。


 机の上に紙を広げる。その中にある火属性付与を見ると攻撃時、属性を付与すると書かれており、属性付与系の紙は全てこう書かれている。


 火属性付与! 


 念じてみたが、身体のどこも変わりはない。攻撃時に付与ということだから何かを殴ってみたら燃えたりすんのか?


 そう思って長屋の壁をなんの気なしに軽く殴ってみる。


 拳が当たった瞬間、拳を中心に木製の壁が一気に燃え上がる。


 ……すげぇ……


 って見惚みとれてる場合じゃない!! 早く消さないと、火事になる!!っていうかもうなってる!!


 どうしよう! どうしよう!! どうすりゃいい……


 気が動転しパニックになりそうになった瞬間、ふと冷静になってある考えが浮かぶ。


 あっ! たぶん水属性を付与させて殴ればいい!!


 何故か俺の頭にそう浮かぶ。


 水属性付与! と念じて慌てて燃え上がる壁を殴る。すると火に水を掛けた時のようにブシュッという音がして、壁の火は消えた。


 あ、危なかった……もうちょっとで大火事になるところだった……


 しかしよく思いついたな俺……もしかして高速機転(中)と第6感(中)がついてるからかも……


「それなら壁を殴る前に気がつけよ……」

 少し焦げ臭い壁を見ながら一人呟く。


 まあこんなこともあるからスキル使う時はちゃんと気をつけないとな……


 他の属性も似たようなものだろう。もう試しに使う必要はないか。次は★★★★千里眼+を使ってみるかこれは使っても大丈夫だろ。説明書きには『星を見渡す目、見たい場所を見ることができる』と書かれているからただ見るだけのスキルっぽいしな。


 千里眼!と念じ、場所はこの部屋と念じてみると目の前に青い球が現れ、その青い球はどんどんと拡大され、俺の頭頂部がその球に映し出される。


 これを使えば離れた場所から気になる場所を見ることができる。



 やっぱり★★★★★の絶対防御が気になる。最高レアリティだし、このスキルは流石に危険はないだろうし使ってみよう。


 絶対防御!


 念じた瞬間、左手に円形の大きな盾のようなものが現れる。説明書きにも光の盾が現れると書いてたしそれがこの盾か。この盾が全ての攻撃を遮断するのか、とてもそんな風には見えないけど。


 自分で殴ってみようとしてもスッと盾を拳が通り抜け盾に攻撃をすることができない。


 絶対防御解除と念じると盾は消失する。



 盾自体はかっこいいけど……クエストで使ってみるしかないか……


「ふぁぁぁ」っとあくびが出る。


 今日はこれぐらいにして後はクエストで試してみるか。

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