第二幕 改革は阻止します!

第51話混乱の中での再開

「疲れる〜ねぇ、マナ。早く移動できる魔法くらいないの?」

「ありません。召喚魔法が得意なあなたなら分かるでしょう」

「我もそんな魔法は聞いた事ないから、カーシャ諦めなさい」

「え〜。あれは?レッドが女の子を村に送ったまほう」

「無理だ。あれは古代アイテム。しかももう使い切っておる」

「え〜なんで〜」

とカーシャ姉さんは駄々をこねる。


今、僕達はアストレルアに帰る途中だ。

馬車も貸切のものを村の人が準備してくれていたらしく感謝しかない。


「大丈夫か?馬車酔いしてないか?」

「うん。大丈夫だよ」

ミコト姉さんが心配してくれる。

意外とミコト姉さんはしっかりしている。


「意外とはなんじゃ」

「心の中読まないでよ」

「そうだよミコト。私だってカズヤくんの心の中見てみたいのに…」

「エクシア姉さんも便乗しないで」


馬車の中は賑やかだった。

第一、レッドさんがいてくれるのは頼もしい。

今まで姉さん4人とだったから僕の争奪戦が起こっていたからだ。


まぁ、今でも今日誰が添い寝するかという議論は続いている。


そんな時、

「あれは、なんだ…?」

「どうかされましたか?」

「いや、なんだか都市の方で煙が上がっているような…」

「あそこ、建物が立ち並んでるから火事とかじゃないの?」

「そうですかね。そうだといいんですが。」


カーシャ姉さんの予想は外れた。


アストレルアが見えてくるにつれて、様子がおかしいと分かる。

「レッド、これは何が起こってるの?」

レッドは呼び捨てでいいと言ってくれたので呼び捨てで呼んでいる。

こういうのは経験豊富な人に聞くのが最適解。

「ふむ…、とりあえず馬車を降りよう。後は歩ける。馬車が巻き込まれては我々も後手になる」

「分かった」

僕たちは馬車に降りる。


「本当に行くんですかい?」

「ええ。もう自力で都市まで行けますので村に戻ってもらって大丈夫です」

「分かりました。それではお気をつけて」

と馬車は去っていった。


「みんな、何が起こっているか分からないからそれまで戦える体勢にして」

「カズヤくんが大人に…」

弟バカとでも言えばいいのか。血の繋がりはないけど。


走って都市まで向かう。

向かった先は、

「おりゃ!」

「こっちにまだ残党が残ってるぞ!」

建物は崩れ落ち、あちこちで火事が起きてる。

そして戦う人達。


「助けなきゃ…」

1歩前に出たのをレッドが止める。

「待て。今はどちらが味方か敵かもわからん。とりあえず、信頼できる人はいないか?そいつの所に行こう」

「それならカールの所に行こう」

とエクシア姉さんが提案する。

僕もあの人なら事情を知っていると思った。

「ほう?カール…」


探すのには苦労しなかった。

「ストーンバースト!」

「うぎゃあ!」

「カールさん!」

「カール…!」

「カズヤくん!それと…レッド!?」

「やっぱりお主か!」

「知り合いなの?」

「ああ、昔タクヤが我と賢者と旅をしていたと言っていただろう?そいつがカールだ。」

「え?」

「タクヤ…」

身近にいたなんて知らなかった。カールさんもお父さんと会いたかったはずだ。少し後悔するが、今はそれどころではない。


「カールさん。このことは後で話しましょう。今は状況が知りたいです」

「ああ、すまない。簡単に言うと国家転覆をしようとする集団がこの都市を制圧しようとしている」

「国家転覆…」

いつも騒がしいカーシャ姉さんが真剣の顔で言う。

それほど事態はひっ迫しているということだ。



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