第7話ひとりぼっち程辛いことはない

「え…」

「大丈夫!?今は動かないで!すぐに治すから」

僕はあの赤い瞳を見て確信した。エクシア姉さんだ。


エクシア姉さんはバックから特大ポーションを取り僕に口移しで飲ませる。

量が多い…

傷口は塞がれ、血も流れていない。


「あ…なんで…」

頑張って話そうとするけどなんて言えばいいのか分からない。合わせる顔なんてもとよりないからだ。

「とりあえずここはすごく危険だから休憩ポイントに行こう?」

「う、うん」

僕はエクシア姉さんについて行く。


途中、大量の毒針を持った大きなサソリみたいなやつやケンタウロスみたいなやつがいたけど

エクシア姉さんは氷魔法で作ったつららで難なく倒している。


僕と姉さんは無言のまま歩く。姉さんから見たら、僕はもう会いたくないような人だから。


しばらく歩くと、たいまつが何本も立てられ、そこに大きなテントが張ってある所に着く。


「じゃあ体見せて。本当に全部治ったか確認するから」

僕は素直に従う。

「うん、大丈夫そうだね。」

と僕の俯いている顔を覗き込む。

「えっと、僕…ごめんなさい」


また涙があふれる。

「あの時…酷いことを言ってごめんなさい…。本当は大好きなのに大嫌いって言ってごめんなさい…」

やっと言えた。ずっと謝りたかった。謝って許されることじゃないのは分かってるけど、謝っておきたかった。


その瞬間、エクシア姉さんに抱きしめられる。


「もう謝るのはダメ…。あの時は私達が悪かったから、君が自分を責める必要は無い。」

「でも、僕は必要ないから姉さん達は…」

「それは違う!私達には君が必要。だって大好きな人なんだよ…?そんな人をいらないなんて思うわけない…」


「じゃあ、なんで僕を置いていったの…?この2年間ずっとひとりぼっちだった。誰も僕の味方なんていなくて、ひとりで…辛かった」

「それは申し訳ないと思ってる。でも聞いて欲しいの」

僕の手を握る。


「私達は君が15歳の成人、もっといえば魔法適性検査の日に会いに行こうとしていた。成長した私達は君に再び忠誠を誓って今後ずっと力になろうとしていた。」

「じゃあなんで…!」

来てくれなかったのか、と言おうとした瞬間

「私が先に聞きたい。何でカズヤくんはここにいるのかを」

「…!」


僕は無言で手を強く握りしめる。

本当に僕は泣き虫だ…

「よしよし、ゆっくりでいい。いつまでも待つよ」

と頭を撫でられる。


僕は少し落ち着いた後、ここまであったことを全て打ち明けた。

適性検査では適正なしで家から追放されたこと、そしてパーティーに参加したが裏切れ、大穴から落とされたこと。


「良く頑張ったね」


嬉しかった。今まで否定しかされてこなかったのに、僕のことを肯定してくれる味方がいると分かって。


「頑張った、頑張った。今までそばにいれなくてごめん。でももうカズヤくんから離れない。今度こそ絶対的な忠誠を誓う。」


「ダメだよ。僕はもうエクシア姉さんにとって足でまといにしかならない。だから…」


「カズヤくんのことが大好きだから。一生そばにいたい。それが理由じゃあダメかな?」


これは逆プロポーズ…?

少し、動揺してしまいなんて言えばいいか時間がかかってしまった。


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