第9話

朝食を食べ終えると、応接室らしき部屋へと案内された。部屋の中には既に伯爵と公爵らしき人物が椅子に座っていた。


「君がラルク君かね?」


「はい。その通りでございます」


「うむ。私は公爵のリヒト フォン アルダである。君は天使様を通じて様々な品を用意できるそうだが本当か?」


「はい。本当でございます」


「なら、幻の薬と言われるエリクサーを用意できるか?」


「はい。それなりの対価をご用意いただければ可能でございます」


「ここにS級ランクのヘビモスの魔石を用意した。これで用意できるか?」


「一度聞いてみます。大丈夫だった場合すぐに買えるように魔石を預かってもいいでしょうか?」


「ああ、頼む」


公爵は今渡しても公爵邸から一般人が許可なく無事に出られるわけがないので、盗まれる心配はないため許すことにした。


「天界貿易発動」


「呼んだ?」


「うん。ヘビモスの魔石を対価にエリクサーを買える?」


「うーん。ぎりぎりだけど、ま、いっか。ほい」


天使が袋から薬の瓶らしきものをテーブルに置いた。


「じゃあ、魔石を貰うね」


「はい」


「確かに。じゃあね」


「先のは天使様! まさか本当にお会いできるとは」


公爵は驚き固まっていた


「あの、こちらがエリクサーになります」


ラルクはテーブルの上に置かれたエリクサーを指さした。


「お〜お。この色は書物に書かれた通りだ。よかった。これで妻は病が治り助かる。本当にありがとう」


「え、奥様が? ならすぐ飲ませてあげて下さい」


「ああ。もちろん」


公爵はすぐに使用人を呼び薬を妻に飲ませるように手配した。


「ラルク。本当にありがとう。妻が病に掛かっているとわかれば、側室を押し込もうとする貴族とやり合うは羽目になる。そうなれば敵対派閥に付け入る隙を与えることになる。今の国内情勢でそんなことはできん。なので大々的にエリクサー探しができなかったのだ」


「なるほど。そうだったんですね」


ラルクは大貴族も大変だなとどこか他人事だった。


「褒美だが我が家が所有しているドラゴンの魔石でどうだろうか?」


「本当ですか! 有り難く頂戴します」




それから数日後、無事婚約が成立し領地へともどっり、伯爵家の使用人に艦長権限を移す手続きを行い孤児院に久しぶりに帰ると子どもたちから手荒い歓迎を受けた


「にぃにぃお土産は?」


「ない」


「そんな」


女の子はショックだったのか泣き出してしまった


「わかった。お菓子の詰め合わせを用意してあげるから」


「本当に?」


「ああ、本当だ」


ラルクはスキルを発動しドラゴンの魔石を対価にお菓子の詰め合わせを用意してくれと伝えた。


「うーん。どう考えてもお菓子の詰め合わせにドラゴンの魔石は過剰よ」


「でも、それしかない」


「なら。余剰価値分は預かっておくわ。それで次回の買い物で使ってくれれば」


「了解。ならそうしてくれ」


「了解」


必要個数を伝えて天使から品物を受け取るといつものごとく天使は魔石を受け取り帰って行った


「じゃあ。お菓子がほしいやつわ並べ!」


「「「わーい」」」


とうまきに見ていた子ども達が我先にと駆け寄って来た


「順番に並べ。人数分はあるから、慌てるなよ」


「「「はーい」」」


子ども達に配り終えると、シスター達にも配りとても喜ばれた。


あれから三週間後ラルクは伯爵の応接室にいた。


「あの今回のご要件は?」


「実はな。極秘に進めていた婚約が漏れた」


「な、僕は違いますよ!」


ラルクは身の潔白を疑われてわ敵わないと、必死に主張した。


「わかっておる。でなければ応接室ではなく尋問室に案内しておるわ」


「よかった」


「全く。で、話の続きだが国王陛下の耳にも入り、身内の公爵家ならば王宮の離れを貸し出すとおおせでな。お披露目は王都でやることになった」


「なるほど。では何かの商談で?」


「商談と言うより、依頼だな。嫡男の従者として、お披露目会に参加してほしい」


「理由を伺っても?」


「うむ。内密に頼むが、分家がどうやら横槍をいれようと画策しているみたいなのだ」


「なるほど。でも僕の武力は道具を使わないと零に等しいですよ?」


「だろな。鍛えてるようには見えんからな。私が当てにしてるのは、ラルクのスキルだ。魔石さえ用意できれば、打開策になり得る手段を遊ばせておく余裕わない」


「かしこまりました。そこまで評価いただけるなら喜んで参加させていただきます」





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