第10話:湯めぐり回廊 桜屋。

一奈が実家に帰って行って、つかの間の平和が僕とプリンに訪れていた。


ふたりっきりの生活がまた始まったんだけど、僕はプリンにエッチさせて

ってなかなか言えなかった。

いざとなると、尻込みしたんだ。


プリンちゃんのほうはいつでもおっけ〜よって臨戦態勢に入っていたって言うのに。


そんな日々の中、土曜日の朝早く、美都里ちゃんがマカロンを引き連れて

僕のマンションへやってきた。


「棚橋君、いる?」


「あ、おはよう美都里ちゃん」


「いたわね・・・そうよね、こんな朝早くから出かけてるはずないわよね 」


「プリンちゃんは?」


「ああ、台所にいるけど・・・」

「プリン・・・おいで?」


「あ、おはようございます、美都里さん・・・あ、マカロンも」


「おはよう、プリンちゃん」


マカロンは挨拶もろくにしないでペコッと頭だけ下げた。

僕はマカロンにも声をかけた。


「マカロン、おはよう・・・元気?」


「うん・・・初ちゃん、もうプリンちゃんとやった?」


「え?・・・やった?」


「エッチしたのかって聞いてるの、決まってるでしょ」


「朝からそれ?、しかも来ていきなり最初の言葉がおはようじゃなくて?」


「俺は美都里ちゃんと、もうやっちゃったよ」


「うそ〜・・・美都里ちゃんそれほんと?」


美都里ちゃん・・・マカロンと、インコとやっちったのか?


「そうだよ・・・私たちすっごく馬が合うっていうか、相思相愛なの 」


根性がひねてるマカロンと、気が合うなんて美都里ちゃんも、かなりなところで

変わった子なんだなって僕は思った。

もしかして美都里ちゃんの告白におっけ〜しなかったのは正解だったかもしれない。


「でさ、プリンちゃんとやったの、やってないの?」


「いいじゃん、人のことなんて・・・うちはうちでうまくやってるよ」

「それより朝早くからふたり揃ってなんの用事?」


「あ、それなんだけど・・・これから四人で温泉行かない?」


「桜ヶ丘公園の近くに《湯めぐり回廊・桜屋》って、天然温泉リゾート施設が

できたでしょ。


「そいえば郵便ポストにチラシが入ってたな」


「私、温泉に目がないのよ・・・ソムリエになりたいくらい」

「最初はね、マカロンとふたりで行こうかって思ってたんだけど・・・」

せっかくだから、ふたりも誘おうと思って・・・」


「いかない、みんなで、温泉?」


「いいけど・・・」

「プリン、どすうる、行ってみる?温泉」


「おんせん?ってなんですか?」


「あ〜そうだよな、またそこからか・・・」

「いいよいけば分かるから・・・」


結局、僕とプリンと美都里ちゃんとマカロン四人で、その湯めぐり回廊・桜屋って

リゾート施設に行くことになった。


聞くところによると温泉だけじゃなくレンストランもあるし

宿泊設備もあるし、温泉から出た休憩できるようカップルや家族用の個室も

あるらしい。


けっこうな時間つぶしになりそうだった。


つづく。

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