第4話:もしかしてマカロン?。

プリンちゃんが僕のマンションに来て、しばらくしてひとりの男が訪ねてきた。

訪ねてきた男を見てプリンちゃんが言った。


「もしかしてマカロン?」


「よっ、プリン」


「あんた勝手にどこかに飛んでちゃったんじゃないの?」


「うん、なんだけどさ・・・来ちゃった」


「よくここが分かったわね」


「動物の勘ってやつ・・・」


「あのプリン・・・今この人のこと・・・マカロンって言った?」


「うん・・・私と一緒におばあちゃんに飼われてたインコのマカロン」


「は〜君も人間になれるんだ・・・」


「みたいです」


マカロンははっきり言って僕も負けそうな超イケメン男子だった。


「マカロン、なんで来たの?」


「いや〜プリンが行方不明になったあと、この人に連れられておばあちゃんちに

帰ってきたとき、傷の手当てして助けてくれた親切な人がいたって俺に話して

くれただろ・・・」

「それ覚えてたから、たぶんプリンはその人のところに行ったんだろうな

って思って、追いかけてきた」


「私はういちゃんにお世話になったから・・・今度は私が初ちゃんの

お世話しようと思って来たんだよ」


「俺もここに住んじゃダメかな?」


「マカロンは関係ないでしょ」


「そんなこと言うなよ・・・ケージの中で一緒に暮らしてたじゃないか」


「初ちゃん、マカロンはあんなこと言ってるけど、なにもなかったんだからね」

「同じケージにはいたけど、私ちゃんと貞操守ったよ」


「あ〜そうなんだ・・・じゃ〜マカロンとは恋人同士じゃないんだ」


「違うよって前に言ったじゃん」


「俺は恋人だと思ってますけど、プリンのこと」


「え〜そんな勝手言って、迷惑・・・私はマカロンのことなんかなんとも思って

ないからね・・・」

「なんでそんなウソつくの?」

「私が好きな人は、初ちゃんだけだからね」


「だから悪いけど、どこか他へ行ってくれる?」


「他に行けって言われたって俺、行くところないもん」

「すいません、いきなり訪ねてきて迷惑かもしれませんけど・・・」

「俺もここに置いてくれませんか?」


「いや〜そんなこと言われたって・・・このマンションに男は、ふたりも

いらないと思うんだけど・・・」

「それに君は僕の兄弟でも友人でも知り合いでもないしね・・・」

「まるっきりの赤の他人だし・・・」

「もしかしてライバルになるかもしれないし・・・」

「もし君が居座ったらプリンの負担が増えるだけだろ?」


「俺だって家事手伝いできますよ、買い物にだって行くし・・・」

「言ってくれたら、パシリだってしますから」


「どすうるプリン・・・あんなこと言ってるけど・・・」


「初ちゃんはどうなの?」


「ん〜そこはプリン次第・・・」


「あの・・・初ちゃん信じてね、マカロンとはなにもなかったんだからね」


「うん・・・それは信じるけど・・・見てないからな?」


「信じてないんじゃない」

「もういい」


「じゃ〜、君・・・プリントはなんでもないんだな」

「君をここに置くかどうかはその返事次第だな・・・」


「なんでもありませんよ・・・恋人っていったのは俺の願望です」


「願望って・・・片思いってことか・・・」


「じゃ〜やっぱりプリン次第ってことか・・・」


「ひとつ条件飲んでくれるならここにいていいよ」


「条件?」


「僕とプリンの邪魔しないって言うならここに居てもいいいけど・・・」


「ほんとですか?・・・じゃそういうことで、その条件飲みます」


そう言うと、さっそくマカロンは自分ちみたいにズケズケ部屋に上がり込んで

きてソファに座った。


「ほんとに・・・もう図々しいんだから」


「仲良くやろうよ、プリン」


「呼び捨てにしないで、恋人でもなんでもないんだから」


「あ〜ごめん・・・プリンちゃん」


「いい?、私たちの邪魔しないでね・・・エッチする時は出てってよ」


「え〜〜〜なに言ってんの?」

「プリン・・・ちょっとこっちきて・・・」


僕は手招きしてプリンを台所に連れて行った。


「どさくさに紛れてなに言ってんだよ・・・エッチって?」


「エッチはエッチでしょ・・・他になんて言うの?、セックス?」


「あのね・・・言いかたじゃなくてさ・・・ああもういいわ」

「それよりあのさ、マカロンってめちゃイケメンじゃん、彼氏にしても不足ないと

思うんだけど、なんでプリンはイヤなの?」


「あいつ、性格めちゃ悪いの・・・本性はDVだし、セクハラだし、自己中だし、

わがままだし、すぐ拗ねるし、自分勝手だし、ヤリモクだし、優しさのカケラも

ないし・・・」


「わ〜最悪最低だな」


「だから私、ひとりでケージ抜け出したんだよ」

「それで初ちゃんに助けられたの」


「マカロンと一緒にいたくなくて・・・逃げたんだよ」


「だから初ちゃんが私をおばあちゃんちに返しに行った時、またマカロンと

同じケージに入るのって思ったら憂鬱だったんだよ」


「可愛がってくれてたおばあちゃんには悪けど、私はずっと初ちゃんと

いたかったのに・・・」


「でももうマカロン家の中に入れちゃったよ・・・」


「私は知らないからね、あいつのことなんか・・・」


つづく。

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