第3話:及川 美都里ちゃんからのマカロン。
ピーちゃん・・・いやプリンちゃんは行くところがないっていうので、
僕のマンションを訪ねてきた。
最初はプリンちゃんがインコだって信じられなかったけど、脇の下の傷を
見せられて僕は彼女の言ってることを信じた。
ってことでなんて言うんだろう・・・同居?あるいは同棲?
どっちにしても僕は、なし崩しにプリンちゃんと暮らすことになった。
プリンちゃんが僕の彼女じゃないにしても、部屋に女性がいることには
違いない。
ひとつ問題があるとしたら、ある女性が僕のマンションに遊びに来たがってる
ってこと。
実は僕には僕を慕ってくれる女性がひとりいるんだ。
今のところ彼女でも恋人でもないんだけど、その子は僕の彼女になりたがってる。
それは僕の会社の同僚の女の子「
僕より少し遅れて会社に入ってきた彼女。
当然、一緒に仕事するわけで、僕にとってプリンちゃん以外で一番近い
存在といえる彼女・・・。
そんな毎日だからか美都里ちゃんは僕に行為を持った。
ある日、僕は彼女から、告られたんだ。
「付き合ってほしい」って・・・・。
なんだけど、言っちゃ悪いけど美都里ちゃんは僕のタイプじゃないんだ。
完全に断ってしまいたかったけど、そんなこと・・・真っ直ぐな彼女の
気持ちを思うと断るなんて可哀想でできなかった。
「棚橋君、お付き合いしてる女性っているの?」
って聞かれたけど、彼女なんていなんだから正直にいないよって言った。
でも今考えたら、なんでその時、好きな彼女がいるって言わなかったんだろ。
それなら、すんなり僕のことを諦めてくれたかもしれないのに・・・。
「今は恋愛には興味ないから、ちゃんと仕事を充実させたいから」
って面白くもない返事で美都里ちゃんへの気持ちをうやむやにしてしまった。
僕の優柔な性分・・・彼女をフッちゃうなんてできなかった。
でもそれって、表面上では体良くって感じだけど内面では逆に彼女を傷つけてる
ことになるわけで僕ってなんて残酷な男なんだって自己嫌悪に陥った。
それでも彼女は毎日明るく、僕に接してくれてる。
僕はその笑顔を見ると良心の呵責にさいなまれた。
同僚だからね、もめたくないよね。
彼女とは、できればこのまま同僚として付き合っていけたらいいなって
それが僕の理想・・・だから美都里ちゃんが僕の彼女にってことは
考えられなかった。
愛されて、恋をするって本当は一番いいことだって分かってる・・・。
でも、僕にその気がないかぎり彼女が不幸になるだけ。
僕って表面上はいい子ぶって内面はなんて冷たい男なんだって思った。
だから人の気持ちは相容れないことだってあるんだと自分を慰めるしかなかった。
でもそんな僕の気持ちは彼女には伝わらない。
僕がちゃんと断らないもんだからその後も ご飯食べに行こうよ、とか
土曜の夜祭りに行こうよって誘われたりした。
そんなわけで完全に僕は美都里ちゃんの射程距離圏内。
両手を広げたら撃たれてしまう。
で、僕のマンションに遊びに来たがった。
それは困るからって断ったけど・・・それでも黙って訪ねてきそうな勢いだった。
まあ、別に後ろめいたことしてるわけじゃないんだから、
美都里ちゃんがマンションを訪ねてきても問題はなかったんだけど・・・
でも今は違う・・・プリンちゃんがいるからね。
美都里ちゃんには彼女なんかいないって言ってあるのに、訪ねてこられて
プリンちゃんと遭遇したら、僕は嘘つきのレッテルを貼られる。
「彼女いたんですね」って言われるに決まってる。
別にそうなってもいいんだけど・・・これが事実なんだから・・・。
でもきっと僕は美都里ちゃんから軽蔑の眼差しで見られて、そしてまた
自己嫌悪に陥る。
それに美都里ちゃんにプリンちゃんはインコなんだって言ったところで
信じてもらえるはずないし・・・」
って・・・今のところそれは僕の妄想に中の出来事。
でもありうる出来事でもある。
だけど、美都里ちゃんよりも意外な展開が僕を待っていたんだ・・・。
それはプリンちゃんと一緒に飼われてたマカロンが僕のマンションを
訪ねてきたことだった。
しかもプリンちゃんと同じで、人間の男子になって・・・。
しかも超イケメンだし・・・。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます