ハリボテ

ハリボテみたいな不幸に感わされて私たちは今日も歩む

レディメイドの肝臓に注ぎ込んだアルコールは自我と共に浄化されていく

人間くさい歌に酔いしれてあなた達は今日も走る

オーダーメイドに見せ掛けた時計の針が

刻み込むようにその音をたてる

あなた達がどう生きようと

わたしがどう生きようと

それは自由の蜃気楼で

実際のところは不自由で煙たい存在であった

重厚感に満ちたその声の主は貴方でも私でも神でもなかった

それは冒涜だ

何もわからない

無知であることをおそれて何も知り得なくなった私が

得るものなどたかがしれていようが

薄っぺらな情動に動かされた愛情が

今私を押しのけようとしている

そんなもの、殴ってしまえばいいのに

抱きしめる愚か者はどちらなのか

わたしである

わたしであった

私でしかなかったのだ。

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