第8回「子どもたち」

《「ども」は接尾語で、本来は複数であるが、今では多く単数に用いる》


 1 年のいかない幼い者。児童。小児。わらべ。わらんべ。また、多くの子。子ら。「幼稚園の―」⇔大人。


 2 親がもうけた子。むすこやむすめ。「―の教育費」

(小学館『デジタル大辞泉』「子ども」より抜粋)


 なぜか「たち」が付いた形が出てきた。

「子達」という項もあり、解説によると、関西では子に対する敬意が残っていてこのような言い方をするのだという。

 複数に複数を重ねるのはおかしいという見方もあるようだ。


「子」と「子ども」の使い分けについて考えてみる。

「子ども用」「子ども政策」はあっても「*子用」「*子政策」はない。一方、「うちの子用」「一人っ子政策」なら許される。単独で用いる場合には「子ども」で、指示語や修飾語が付く場合は「子」のみにすることが多いようだ。

 これは、「子」一モーラ(拍)では短すぎて扱いにくいからかもしれない。日本語では、「葉」「輪」などの短すぎて安定感がない単語は、「葉っぱ」「輪っか」のように、音を水増しされる場合がある。「子ども」が複数で単数を示している一因として、語を長くするために便宜的に「ども」を付けるようになったからではないかと考察してみる。


 自分の子を指すときは「うちの子ども」「うちの子」どちらでも言える。しかし、「あの子ども」は許されず「あの子」としか言えない。前者では、自分とは無関係の見知らぬ子どもと解釈されると思う。

 どうも、「子ども」は子ども全般、「子」は発話者本人の子どもとして扱うことが多いようだ。

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