校内楽園化計画
霜花 桔梗
第1話
二十一世紀後半、携帯端末の進化によって。人々は高度な電脳社会を作り上げた。人と携帯端末を直接繋ぐのだ。人々はネットワークで繋がり簡単に情報交換ができる。
対馬葉高校の事である。
謎の原因により生徒が次々と倒れ、数日以内に死亡する事件が多発していた。
私の名前は『獅子尾 真菜』ジャーナリストの端くれとして、この事件を追うと決めたのだ。
そもそも、先月まで新聞部で活躍していたがクビになったので第二新聞部を作ったのだ。
私に集団生活は無理なのである。
校内で生徒の連続死亡事件を取材したいと言ったら、禁忌と言われた。それでも、取材を進めたら、クビである。しかし、流石に一人では新聞の発行は難しいか。
私は第二新聞部の部員募集の広告を掲示板に貼る事にした。
『部員募集、他の部活動と両立可、初めての方歓迎』
こんなものか。しかし、開いている部室が有って良かった。ここは旧写真部の暗室だ。
出るとの噂はあるが一国一城の主である。
数日後の放課後。
「あのー、張り紙を見てきたのですけど」
現れたのは髪がボサボサでダサい男子である。
「あん?家はシロアリ退治の依頼は無い」
私の言葉に何やらモゾモゾとしている。コイツ使えないな。
「入部の希望で来たのですが……」
嫌な感じの雰囲気だ。こんな使えそうもない奴の面倒など見てたまるか。
「あー、帰った、帰った。家は少数精鋭なのだ。使えない人材は要らない」
「そんな事を言っていいのですか?教頭先生に相談しますよ」
「かまわない、校長だろうとスクールカウンセラーだろうと好きに言うがいい」
「はーあ、この部活なら面倒臭い事が無いと思ったのに」
「何だ、コミ障害か?」
「えぇ、まあ」
ここは入部を考えるべきだな。私はコミ障害には寛容である。
私は、ノリで使えない人材こと『上州 将斗』を採用してしまった。これが本当に使えない。コピー機とシュレッダーを間違えるし、パソコンが使えると言うのでやらせてみると。確かに使えるがタイピングが鈍足である。仕方がないので自販機にお茶を買いに行かせると。
「パワハラだ、学年主任に訴えてやる」と言って帰ってしまった。
最近の若い者はと嘆きたくなる。仕方がないので職員室の給湯コーナーでお湯を使いコーヒーを飲む。このビーカーでいれたコーヒーは学校だけの楽しみと言える。
「獅子尾、また、職員室でコーヒーか?」
「えへへへへ」
「誤魔化してもダメだ、確かにテスト期間以外は解放されているが……」
「はい、そこまで、深く反省したので帰ります」
「本当か?」
「えへへへへ」
私は適当に誤魔化して職員室を出る。これは確かに問題行為だな、私もコミ障害だ。
ホント、息苦しい世の中だ。
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