ステータスが弱すぎて追放された件〜俺だけ2つあるステータスで異世界を満喫します

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プロローグ

 突如として地球上にダンジョンが現れてから数十年もの月日が経過した。

 ダンジョンの出現と共に現れたモンスター。彼らは現代の武器では倒すことができず人類は危機に陥っていた。

 そんな彼らを倒すことのできる人類が現れた。彼らは後にステータスと名付けられる異能に覚醒し、その力を駆使してモンスター達を倒していったのだ。


 ダンジョンからはモンスターだけではなく、今までの人類の常識を覆す未知なる物がたくさん発見され、それらは高値で取引されるようになった。


 ダンジョンを探索し大金を稼ぐ。そんな彼らは探索者として呼ばれるようになり誰からも憧れるようになった。


 探索者には一部の選ばれしものしかなることができなかった。

 しかし、科学的なアプローチが成功し人工的にステータスを取得することが可能になった。


 その結果、探索者を志す若者は飽和状態なり、金さえ払えば誰でも冒険者になれるようになった。

 その事態を重く見た政府が探索者専門学校を設立した。そのため卒業を認められた者しかステータスを取得することが許されないこととなった。


 この俺、松下龍空まつしたりくも父親が探索者であった事も関係し、幼い頃から探索者に憧れていた。


 日々の努力を欠かさなかったおかげで先日、探索者専門学校も無事卒業することができた。


 今日はダンジョンは赴き、ステータスを取得する予定だ。


 世間一般ではステータスについて根本的な物は変わらないが、人により千差万別と言われている。


 探索者ギルドについた俺は自動ドアが開くのを待ち中へと入る。

 中にはたくさんの冒険者で溢れかえっていた。


 みんな同期ライバルなのか……


 基本的にはスマホで探索申請を行うためギルドには緊急時やギルドに来ることを好む変人を除けば人がいることは少なかった。


 それなのにここまで人が多いということは探索者の卵たちが卒業後すぐにここに来たとしか俺は考えられなかった。


 長い列に並び受付を終えた俺は自身の決められた先へと座り開始時刻を待っていた。


 開始時刻が来ると配られたスマホの電源が勝手に入った。

 これが探索者のスマホかぁ。

 俺が感慨深く思うのも無理はないだらう。親のスマホを見て知ってはいたがダンジョンという特殊な環境でも使えるように特注で作られたスマートフォンなのだ。


 スマホを手に取ると表示される画面を穴が開くような視線で覗き込んだ。


【10:00】【新宿第一新人ダンジョン】


 今日の潜るべき時間とダンジョンが表示されていた。

 今は8:30だからあと一時間半かぁ。


 新人ダンジョンとはステータスを取得するために作られた人工ダンジョンのことである。

 新米探索者はまずこのダンジョンに潜りステータスを取得するという法律になっている。


 スマホが配られた後は各々目的地周辺へ散らばっていく。

 俺も例外ではなく新宿新人ダンジョンの近くのカフェで時間を潰していた。


 これで終わりっと。

 配布されたスマホに探索者の必需アプリを入れ終わった頃にはスマホの時刻は9:40と表示されていた。


 会計を終えた俺はダンジョン名前に来ていた。

 あっという間に10:00を迎える。


 固く閉ざされた門にスマホをかざすと門が開いた。

 どんな能力が手に入るんだろうか。

 ワクワクが抑えきれなかった俺は喜色満面の笑を浮かべながらダンジョンへと侵入した。


 ゲートを潜る時に感じるといわれる不快感を感じながら視界が定まるのを待った。


【ステータスを獲得いたしました】


 脳裏に突如響く声。

 やっとこの時が来たんだ!!

 ステータスを無事取得することができた!


 ゲートを潜り終えた俺の目に飛び込んできたのは入った時の後悔ではなく、中世ヨーロッパで出てくるような大きな部屋の中だった。

 しかも数十人に囲まれており、武器を所持している人たちも見受けられた。


 は?ここはどこだ!?

 新人ダンジョンは入ると同時にステータスを取得してその場に出るだけだぞ!?


 突然の状況に俺は困惑していた。

 そんな中、沈黙を破るように追い討ちをかけるような言葉が響き渡った。


「よくぞ参られた!!異世界の勇者殿よ!!!」

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