第77話

 じいちゃんが孫を俺に託してくれたが、整列している土の精霊達、みんな同じに見えてしまう。


『『『よろしゅう頼んまっせえ!!』』』


 ずこっ!物凄く軽いぞ?

 しかしここで問題が発生・・・・じいちゃん、エレンの実家を知らなかった・・・・俺も知らないし。


「じいちゃん、何処へ向かえばいいか分からないと思うから、また今度。」

『儂とした事がうっかりしとったわい。それより折角魔力が増えたのじゃ。他の精霊も増やさんか?皆手薬練てぐすね引いて待っておるぞい。』


 増やしたらまた魔力枯渇に陥りそう。


『じいちゃん、一度エレンの実家に行くから増やすのはその時で。』

『仕方ないのう。他の精霊達にはそのように伝えておくぞい。』


 そう言えばサラマンダーさんとか結婚しているとか言っていた・・・・●注:10話で妻がいるって言って、子が成せたとか・・・・


 火の精霊も増えるのだろうか。

 エレンを待たすのも悪いし、精霊関連は一旦保留とし出掛けよう。


「エレン待たせた。さあ行こう。」

「問題ない。私も早くヘイマンス殿を父に紹介したい。」


 うん?何か違うぞ。

「エレン、実家へ何しに行くか分かっているか?」

「それは勿論、結納品を納めに行くのだろう?」


 がくっ!何故こんな勘違いをする?

 闇の勢力が・・・・ボプさんだが・・・・仕掛けた罠を回収するのが目的だったはず。

「元々私の実家から持ち出した武具だ。それを別の武具に取り換えるのだろう?」

 微妙に通じていない気もするが、ある意味合っている。

 合っているだが・・・・一体実家へ戻っていた時、どんな話をしたんだ。


 俺は不安を抱えたまま、エレンの実家へ向かった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 街を出るのは初めてだ。

 正確には街から出た事はあるが、あくまで街の周辺、つまり【メイエリング】の領内が行動範囲だったから。


 しかも何か無駄に豪華な馬車がやってきて、俺はエレンに促されるがまま乗った・・・・絶対凄い奴だこれ。


 御者もお洒落で身綺麗だ・・・・所謂紳士って感じで御者には見えない。

 俺の知る御者っておっさん、それも農家の親父がやっている感じで、服もくたびれている・・・・今までそんな馬車しか乗った事がないんだよな。


 あと、中にメイドさんがいた。

 マジっすか。

 俺とエレンは横に並んで座り、進行方向と逆にメイドさんがいて、オリビアさんがお菓子を・・・・何でオリビアさんがいる。

 メイドさんはオリビアさんだった。

 そうじゃない、メイドさんが2人いて、そのうちの一人がオリビアさん。


 あれ?屋敷でもオリビアさんってメイドさんだから問題ないか。


「必要になると思いましたので同行する事になりました。」


 必要になるんだ。

 オリビアさんが必要って、貴女何者ですか?


「今屋敷はどうなっているの?」

「ご心配なく。ステファニー様が復帰いたしましたから問題ありません。」

「復帰って、何かあった?」

「・・・・ヘリット様と同じく衣類が濡れましたので、着替え等々・・・・体調は問題ないようです。」


 俺、女性との会話に対して自信が無くなってきた。

 エレンともそうなんだが、なんか話が微妙に噛み合っていない。

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