第53話
エレンの目がキラッキラに輝ている。
なんかこう、今までと違い尊敬の念で見られている、そんな感じだ。
今まで俺は単に護られる存在だったのが、ここにきて攻める側、つまり被食者から捕食者になったって事だ。
エレンは起き上がり、こちらにやってくる。
もう歩いて大丈夫なのだろうか。
そう思ったんだが、何か俺の方が変なんだ。
エレンを見て気が付いたとか変なのだが、急激にお腹が空いた事を今更気が付いた。
何で?
そうだ、エレンも血を失っていた事だし、食事で補うか。
ポーションがあればよかったんだが。
『そう言う訳で、俺とエレンは少し食事を・・・・ってあああ!カバンが無いから食材もない!し、しまったあああ!!!』
そう言えば俺、手持ちのカバンを全て置いてきた。
あ、それで思い出した、さっきじちゃん達が精神干渉とかなんとか言っていたようだが、ボプさんの能力?
今になって思えば何で俺は、エレンもそうだが必要な物や武具を地面に並べてしまったんだろう。
あり得ない上に、それに気付けない異常事態。
これ、冒険者ギルドへ伝えても、ボプさんが全力で精神干渉してきたら、対処できないのではなかろうか。
魔道具を扱っているお店に、精神に作用する能力に対応できる魔道具って無いのだろうか?
『それなら心配ないぞい。儂がひとっ走り屋敷へ行ってくるぞい。其方、レベルアップしたじゃろ。そのお陰で儂を含めた精霊が他人にも認識できるようになっておるはずじゃ。あちらで儂が話しておくのじゃ。』
新たな新事実!俺、本当にレベルアップしたんだな、それと・・・・じいちゃん早くお願いします!
『じゃあその、お願いしていい?』
『予備のカバンもあったじゃろ。それに積めて持ってくるぞい・・・・うははは!』
変なテンションでじいちゃんは消えた。
で、次にアクアさんがやってきた。
『その、申し訳ありませんが・・・・お願いがありますの。』
アクアさんのお願いって珍しい・・・・これは全力で叶えねば!
『俺にできるのであればいいけれど、何?』
『その、以前お伝えしていた格の事なのです。ヘイマンス様はレベルアップいたす事が出来ました。それにより、我々精霊の格を、中位を上位にあげる事が出来る様になっているようですので、その出来れば・・・・』
俺の周囲に居る精霊でアクアさんだけは格が低いんだ。
いつも気にしていたし、俺もできればあげたかったんだが、やり方も分からない、そもそもレベルが低くて出来なかったんだが・・・・できるのか!
ではやろう!
『えっととどうすれば?』
『私に、つまり対象の精霊に触れ、念じて頂き魔力を沢山込めて頂ければ後はこちらで出来ますの。』
俺はもう速攻アクアさんに触れ、念じた・・・・うわ!魔力がごっそり持っていかれる・・・が、地脈から常時魔力が供給されているようで問題なさそうだ。
『感謝いたします・・・・ああ、これが・・・・』
あ、アクアさんが光の粒になって消えてしまった・・・・なんてこった!やり方を間違えた?
俺は浮かれて取り返しのつかない事をしてしまったのではないだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます