第35話

 現在66層。


 基本俺は無視されている。

 まあ本命はエレンだから仕方がない、というより俺は単なるおまけ扱いだ。

 だが役に立っているはずだ。


 既に3日経っているが、今の所何とか一日5層クリアしているが、そろそろ毎日5層はきつくなってきた。

 どうしてかと言えば、下へ向か場向かう程広いからだ。


 3日ダンジョン内で休憩、というより睡眠を選択したんだが、テントを用意し温かい食事を提供しているのは俺だ。

 しかもシャワーまで出来る様にしたって言うのに何だろうこの対応。

 此処まで来たんだ、今更なんだろうが・・・・まあエレンだけだ、俺にかまってくれるのは。

「ヘイマンス殿は料理もうまいな。調理の技術を得ているのだろうか。」


 エレンは俺が作った料理をおいしそうに食べてくれる。

 だが俺にはスキルなんて便利な特技はない。

 只管調理を続けた結果、美味し料理が出来る様になっただけだ。

 まあ、教えてくれる先生達が優秀なんだろうが・・・・因みに修道院で教えてくれる。

 本当だったら男は立ち入り禁止なんだが、俺は毎回多額の寄付をしているからと、特別なんだとか。

 だがこの事実を大っぴらに知らせてしまうと、修道院の女性目当てに貴族や金持ちが金に物を言わせ・・・って事になりかねないから、何らかの基準があるらしいものの、俺は知らない。

 だが俺は修道院的に問題なかったようだ。


 俺の料理はパーティー全員で食べている。

 一部のメンバーからは俺が戦闘中寝ているだけだから、こんな時ぐらい貢献しろ!と言われている。

 まあ慣れているから気にしないし、確かに俺単体に関して言えば、戦闘中は役に立っていないからなあ。

 それも含めボプさんは俺とエレンを受け入れたはずなんだけれど。

 まあ寝ていれば地脈に繋がるからじいちゃんが色々用意してくれるし、俺は調理をするだけだ。

 いや違う、テントの設営やトイレの設置、さっきも触れたがシャワーも用意した・・・・殆どジジイちゃんが、だが。

 女性陣には概ね好評だ。

 それなのに何故俺の評価はしょぼいままなんだ?


「ヘイマンス殿、料理は助かる。未だヘイマンス殿を理解していないメンバーが多いが、いずれそれも収まるはず。もう少し辛抱してほしい。」


 ボプさんは俺を否定しない。

 俺が戦闘中に地面に突っ伏した時、最初は確認しに来たが、俺が大丈夫と言うと自己責任で、とかなんとか言ってそれっきりだ。

 いい意味に捉えれば俺がこうして無防備に見える姿でも、何らかの対処があると理解してくれていると思われている。

 悪く言えば『ふざけやがって!勝手に死ね!』と言った所か。

 戦闘中に俺が地面に突っ伏している時は誰も干渉しなくなった。

 まあ魔物が目の前に居るから、それどころではない、というのが実情だろう。


 精霊が見えないから、俺が単に寝ているとしか映らないのだろうが、精霊が見えていれば俺の周囲に沢山精霊がいるのが分かるはず・・・・どうしたら他人にも精霊が見えるようになるのだろう。

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