第8話

「私の調整は済んだ。次はヘイマンス殿との連携だ。」

 確かにエレンの調整は終わったようだが、俺との連携ってどうするんだ?

 ぶっちゃけ戦闘時は俺、地面に伏しているから連携も何もあったもんじゃない。

『ねえねえ、彼女って私達の事認識しているんじゃない?だからあんたじゃなく精霊との連携って意味だと思うよ?』

 風の精霊シルフさんだ。

 そう言えば呪いを解呪した時って、どう考えてもエレンは精霊と会話が成り立っていたよな。

 だからまあ、俺の精霊と連携って事なんだろう。

「それはいいのだが、俺って地面に突っ伏しているだけだから連携も何もあったもんじゃないぞ?」

 俺はエレンにそう伝えたが、

「ヘイマンス殿は精霊を使役?それとも契約してなのかは知らないが、あのように地面へ全身を接地する事で精霊に色々させられるのだろう?であればそれは当然ヘイマンス殿との連携に他ならないと思うのだが?」

 こんな風に俺は今迄他人から理解してもらえる事が無かったので、ちょっと嬉しかった。

「あー、まあぶっちゃけると俺はああして地面に全身をくっつける事で、地脈と繋がるんだ。精霊は地脈に繋がった状態の俺から得られる魔力がかなり濃厚?とか言っていたっけ、まあそれが目的で俺から上質な魔力を得る見返りとして、一寸協力してくれている、みたいな?説明不足だと思うがこんな感じだと思ってほしい。」

 すまん、俺は他人に説明するのが下手だ。なのでエレンが理解してくれたとは思っていなかったのだが、

「成程、ヘイマンス殿が精霊から助力を得るのに地脈に繋がる必要があるのだな。だが今だ且つて地脈を利用できた、という話は聞いた事が無い。流石はヘイマンス殿。私が見込んだ男性だ。」

『よかったではないか。そう言う訳で儂は今から鉱山へ向かうぞい。山が儂を呼んでおるでな。』

 何故かじいちゃんテンション爆上がりで、山が呼んでいると嬉々として向かっていった。

 この前ミスリル採掘してきたばかりだが、またあんな感じで採掘してくれるのだろうか。

「彼が土の精霊なのだろうか?」

「あーうん、名前は知らないけれど、俺はじいちゃんと呼んでいる。

 多分じいちゃん一度も名乗った事が無いんだよな。

「それにしても精霊というのは凄まじいな。ヘイマンス殿の周囲には火の精霊が護ってくれているようだ。」

『よく分かりましたね。彼以外で私達を認識出来る人間と出会えたのは、貴女が初めてですよ。』

「そうなのか。それ程精霊と接するのは難しいのだな。」

『ええ、貴女のように精霊と会話が出来ても、残念ながら精霊が助力しようと思える対価を拠出できない人間が殆どですから、此方からわざわざ人間には関わらないのですよ。で、彼は地脈と繋がる事が出来ますが、御覧の通り無防備になってしまいますので、こうして主に私が身辺の警護をしているのですよ。』

「成程やはりヘイマンス殿は特別な存在なのだな。」

『当然です。』

 やっぱりエレンには精霊が見えて、そして会話が出来ているんだな。


 それにしてもサラマンダーさん、いつもはあまり喋らないけれど、今日はテンション凄いな。

「ではヘイマンス殿、精霊とヘイマンス殿の関係を確認できたので、次は森で魔物と精霊の戦闘を確認したい。」

 俺、魔物と直接戦った事って無いんだよな。精霊が全部やってくれるし。

 何時も精霊が戦ってくれて、素材も確保してくれるし仕留めた獲物はギルドへ運んでくれるしで、俺は直接戦う事はない。

 尤も精霊に活動してくれる条件として、俺は地面に突っ伏す必要があるから戦えないんだが。

 エレンの戦闘能力は凄まじかった。そして普通の人には精霊の姿が認識できないから、精霊と魔物の戦闘とか普段知る機会がないんだよな。

『そう言う事でしたら、彼女には私達の全てを余す事なく知って頂きましょう。よかったですね、あんな見目麗しい女性が伴侶となってくれる機会はそうそう訪れませんから。』

 えー水の精霊アクアさん、何言っているんですか。

 いつもは沈着冷静な、そして母性溢れるアクアさんがやはりテンション爆上がりなんですけれど!

『そうよ、アンタにあんな女性と結婚する機会はそうそう来ないから、しっかりアピールしといてあげるわ。だからいつもより魔力貰っておくわね。』

 いつもテンション高めなお茶目なシルフさんも、やっぱりいつもと違う。

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