第5話
エレン・エッフェン。
その名を知らない冒険者はこの国には居ないと言われている。
そして彼女の活躍は剣に拠る所が大きいと言われている。
しかし実際は一流の冒険者が業物で魔物と戦う事による戦果である。つまり彼女の実力が飛びぬけているという事に他ならない。
若干17歳にしてその名は王国中にひろまっている。
そんな彼女は偶然か必然か、ヘリット・ヘイマンスと同じ街を拠点にしていた。
そんな彼女が何故ヘリット・ヘイマンスの元へやって来たのか・・・・
エレン・エッフェンは冒険者ギルドから秘密裏に依頼を受けていた。
とある冒険者のパーティーが、仲間になった冒険者を意図的に死亡させているのではないか?という疑惑があった。
だが証拠がない。
何故ならばパーティーの仲間が死んでいるのは必ずダンジョンだったからだ。
ダンジョンで死んでしまえば死体は残らない。
どういう仕組みかは未だ解明されていないが、ダンジョンで人が死ねば1時間以内に死体が消えてしまうのだ。
それ故に死んだ冒険者が本当に戦闘で死んだのかどうかが分からない。
そこでエレンに話がやってきた。
だが彼女はあまりにも有名人過ぎる。
そこでヘイマンスの登場という訳だ。
彼とパーティーを組み、最近死んだ冒険者は偶然か必然か、常に2人。
なので今回2人で挑む、という訳だ。
幸い?件の冒険者パーティーは2人の募集を掛けていたので、これもあって2人で・・・・
こうした内容の説明を受けたヘイマンスだが、色々と納得がいかない。
そんな大事な話をするのに何故顔を隠したままなのか。
折角こうして誘ってくれたのに残念でならない。
「あーうん、その折角誘ってくれたのに、何故に俺なんだ?それに、そんな大事な話ならせめて仮面ぐらい外さないかい?」
ふん!言ってやったぜ!
だが彼女からは少し寂しそうな気配が漂ってきた。
「理由か。ヘイマンス殿を選んだ理由は簡単だ。ヘイマンス殿であれば冒険者のパーティー2つや3つと敵対しても余裕で生き残る事が出来ると判断したからだ。それと私の顔が見たいのか?確かに失礼だったとは思うが、見て気持ちの良いものではないぞ。」
そう言って彼女は仮面に手を触れ、そのまま外した。
そこで目にしたのはとても人とは思えない、こう言っては何だが大層醜い顔だった・・・・だが何か変だ。
何だこの違和感は。
『あー直接見たからわかるけれど、あれって呪いね。』
風の精霊シルフさんが一言そんな事を。
呪い?何で放置しているんだ?彼女はそれなりに金を持っているはず。解呪ぐらいできなかったのだろうか。
「解呪しないのか?」
すると驚いたような表情で俺を見る彼女。
「よく呪いと分かったな。初見で呪いと見破ったのはヘイマンス殿が初めてだ。」
「何だか違和感があって、精霊が教えてくれたんだ。でも何故放置しているんだ?」
「国の主だった解呪士に見てもらったが、全員駄目だったのだ。」
うわ、じゃあこの呪いは相当高度な奴なのか?
『光と闇の精霊だったら何とかなるんじゃない?』
そうなのか?
『じゃあちょっと呼んでくるね?』
風の精霊シルフさんが去って行った。
そしてエレン嬢の話は続く。
「私が全身を覆った装備をしているのは、全身この様な呪いを受けているからに他ならない。」
そう言って手袋を外し、掌を見せてくれるが、確かにこれじゃあね・・・・
そう言った話をしていると、
『連れてきたわよ。普段は人と関わらない子達だから、そこは察してね。』
シルフさんは2体の精霊を連れてきた。
『私が呪いを引き剥がす。光が回復をさせるだろう。』
黒っぽいのが闇の精霊さんかな?
『あ、ありがとうございます?』
『礼には及ばん。今しがた濃厚な魔力をたっぷり頂いた。では早速治療を開始する。そこの対象者は衣類を全て脱いでほしいのだが。』
え?まさかここで裸になるの?いくら呪われているとはいえうら若き女性が、付き合ってもいない男性が傍にいるにも拘らず裸となるのは・・・・
『分かった。全て脱げばいいのだな。』
あれ?さっきから疑問に思っていたんだが、彼女には精霊の声が届いているのか?
俺が慌てているのを尻目に、彼女はあっという間に裸になった・・・・その、酷い状態だったっす。
一応顔を反対側に向けるも、
『ちゃんと見る!』
光の精霊さんに怒られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます