第4話 

 お金、どうすっかなあ。

 取り敢えず宿に今月分を先払いしておくか。

 俺は定宿へ向かい、お金を払ってきた・・・・結果1年分も。お金があるってある意味怖いね。


 そして必要なアイテムや、今日は着替えも買ってみた。

 1年宿に居られるんだから、少しぐらい荷物が増えてもいいよな?


 そして俺は今、修道院へ向かっている。決して女性が目的ではない!

 ぶっちゃけ対応してくれる女性は自分にとって母程の年齢だし?


 そうそう、道中街で色々な人に話しかけられ、ちょっとしたお手伝いをした。

 したというか時々色々としている。

 大抵はトイレから臭いがするとかで、精霊達に対処してもらうんだが。

 それ以外にもあっちを直せとかモノを失くしたとか、まあ色々。

 時々探し物を頼まれるが、ぶっちゃけ落とし物だったり庭に指輪を落としたり、そんなの。

 精霊が全部見つけてくれるんだけどさ。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「いつもご寄付をありがとうございます・・・・って、きゃあ!何ですかこの金額は!いけませんヘイマンス様。これほどの金額、受け取れません。」


 俺は宿代と買い物代を除いた概ね金貨90枚を寄付した。

「一寸今日は報酬が高かったんだよ。あ、では浄化をお願いしていい?」

 ここでは浄化をしてくれる。

 俺は地面に寝そべるので、顔もそうだが体中が汚れるのだ。

 公衆浴場に入るにしても、まずは全身泥まみれの姿を何とかしないといけない。


「うーん、然程汚れがあるようには見受けられませんが、折角ですので衣類も含めやっちゃいましょう。」


 修道院で俺の相手をしてくれた女性は、全身に浄化魔法を掛けてくれた。

 おお!何だかすがすがしい気分?


「ありがとうシスター!なんだかとってもすがすがしい気分だ!」

「それはよかったですわ。それより、いつも寄付をして頂くのは有り難いのですが、そろそろ自身に使った方がよろしいかと思います。家を持ち家庭を持ち子を育てるのです。」


 俺まだ18歳なんだけど?いや、18才だったら家を持ってもいい年ごろか?だけどとある理由から俺、まだ子供を得る事できないんだよなあ。


「はあ、俺を好きになってくれる女性っているのかなあ?こんな姿だし。」


 俺の顔はイケメンとは程遠い。それに背が低く、童顔なのか未だ10歳程度に間違えられる。

 15歳じゃないぞ?10歳に見られるんだぞ?まあ冒険者になってから肉体的に成長できていないなあとは思っているんだが。


 つまり駆け出し冒険者とみられるのだ。それと絶対男性として認識されない奴だ。

「そんな事はありません。私が後30年若ければ、ヘイマンス様のお子を・・・・こんなおばちゃんにそんな事を言われても困りますね。それに地道に活動していれば、見る人は見ていますから、きっと素晴らしい女性が傍にいる様になりますわ。あ、でも修道院の女性は駄目ですからね。」


 修道院の女性達は皆、神にその身を捧げた女性。神の所有物であって、決して人間が手を出していい女性ではないんだとか。

 たまに貴族や商家のボンボンが修道院にいる若くて綺麗な女性を何とかしようとやってくるが、そうした貴族は何故かいつの間にか見なくなり、何故か数日後取り潰しの憂き目にあうようだ。

 街一番の商家が倒産とか、末恐ろしい。

 なので知っている貴族は修道院の女性に手を出さない。

 俺も気を付けよう。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 本日も草原で採取活動実践中。

 そしてお昼、俺は一人でご飯を食べるのだが、精霊は基本食事はいらないらしい。

 魔力があればいいらしい?


 そして食事を終え一寸用を足した後、また寝そべって精霊に魔力を供給している。

『うーん、いつも濃厚かつ美味しすぎる魔力、止められないわあ。』


 風の精霊ウェン・・・・じゃない、シルフさんが上機嫌だ。

『言っておくけれどウィンディーネって水の精霊だからね!分かっている?そう、わかればいいのよ・・・・って誰かこちらに来るわね。』


 珍しいな、俺の周囲に人が近づくって。

 偶然なのか俺を尋ねに来たのか。


 そして俺は言われた方向を見た。

 そしてあれは駄目だと悟った。

 俺も知っている超有名人。

 常に全身を装備で覆って、顔も仮面で隠している女性だ。

 腕は確かで、多分俺の住んでいる街で彼女に適う奴はいないと聞いている。

 そんな彼女が偶然ここにやってくる?あり得ない。目的は俺だな。俺が一体何をしたって言うんだ?

 修道院の女性と楽しく会話したのがいけなかった?

 それとも毎度の事ながら、俺の報酬を横取りしようとしていた冒険者共からの逆恨み依頼?


 どどどどうしよう?


 だが、俺との距離がまだある中、彼女は止まった。

「一寸訊ねたいのだが、貴殿はヘリット・ヘイマンス殿であろうか?私の名はエレン・エッフェンと申す。貴殿がヘリット・ヘイマンス殿であれば少し時間を頂けないだろうか?」


 彼女の声にかなりの違和感を覚えた。

 何だか変だったのだ。それに肌を一切晒さない装備も違和感満載だ。女性の冒険者だとそんな事はしないはず。

 何せ女性冒険者がいい男をゲットするには、如何に肌の露出を増やしつつ防御力を得るか?というのが定番だからだ。


 世の中魔道具やら魔法のかかっている装備があるから、ぶっちゃけビキニアーマーが成立する。

 だが彼女は真逆の存在だ。


「あ、はい、お・・・・僕がヘリット・ヘイマンスです。」

『大丈夫です。彼女からは殺気を感じませんから。』

 すると彼女は一瞬にして10メートル程の距離を詰め、俺の顔・・・・まだ地面に伏しているので、彼女も同じように顔を地面すれすれにしているのだが、

「貴殿がヘリット・ヘイマンス殿で助かった。私が貴殿を訪ねた理由、それは・・・・一緒に活動をして欲しかったからだ。」


 10歳から冒険者をしていて、初めて相手側からパーティーに誘われた。

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