精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない
よっしぃ
第1話
「ヘリット・ヘイマンス、もうお前の行動に我慢ならん、ここまでだ。」
俺はたった今、所属するパーティーのリーダーにそう言われた。
「え?ちょ、ちょっと嘘だよな?俺の事、理解してパーティーにーに加えてくれていたんじゃなかったのか?そう言っていたよな。そ、それに、俺がポーションを提供したり野営の準備とかしてたじゃないか!トイレやシャワーも俺がいつも設置していた!飲み水の確保もだ?料理はどうするつもりなんだ!それなのになんで?」
「・・・・今更ながら戦闘中に地面に突っ伏して微動だにしないお前に皆不満だらけなのだ。俺が今まで何とか皆を説得していたがもう抑え込むのも限界だ。他のメンバーはな、お前の事をこう思っているんだ。俺達が必死こいて魔物と戦っているっていうのに、お前ときたら楽しやがって!ってな。」
「え?だから俺、そうしないと精霊が・・・・」
「精霊だって?そんなのいやしないじゃねえか!」
「そうだよヘリヘイ、嘘はいかんよ嘘
「私もお、精霊なんてえ、みた事ないしい。料理はねえ、私これでも得意だから心配しなくていいよお。」
「そうよそうよ!買い出しも野営の準備?も今まで皆でやっていたからもうあんたいらないよ。」
・・・・何で、どうしてこうなった?しかもここはダンジョンの下層だ。ここから普通、1人で生還とかありえんだろう。それなのにこんな場所で此処までって。
現在俺の所属するパーテーィーは、俺を含め男女3人ずつというメンバー構成。
6人中4人が俺の追放に賛成とか・・・・これも後で触れる事になるが、エレンはある依頼を、それも指名依頼を極秘に受けていて、今この瞬間を待っていたんだが、この階層でこうなるとして、あいつ等は自分達が助かる手段を持っているのだろうか?
俺がまさかここで?と思ったのはまさにその事があるからだ。
「ちょっと待て。ヘリット・ヘイマンス殿は今までパーティーに尽くしてきた。しかも精霊に関して私達は素人だ。目に見えなくても実際ヘリット・ヘイマンス殿は精霊を使役してパーティーに貢献してくれていた節がある。ここまで異様に魔物と遭遇しなかっただろう?飲み水の確保や野営に関しても今まで疑問に思う部分もあった。今暫し考え直さないか?」
このパーティー屈指の前衛、名前はエレン・エッフェン。
普段は無口で小柄な女性だ。顔を常に仮面で覆っているので、普段は顔が分からない。
まあぶっちゃけ呪いによる酷い状態だったんだが、俺が・・・・俺の精霊が治療した。
実際体中も女性とは思えない状態だったが、今はその、滅多に見ないがめっちゃ綺麗なんだよな、色々と。
そんな彼女は今もこうして唯一俺を庇っている。尤もそれには理由があるんだが。
因みに俺とエレンはこのパーティーに加入し1カ月足らずだが、実はこの前までボッチだった・・・・どのパーティ―にも長い事留まれなかったんだが、何と彼女の方から俺に声を掛けてくれたんだよな。まあこの辺りの事も、もう少し後で話そうか。
「エレン・エッフェン、そう言うがな、誰も精霊を見ていない上に、ヘリット・ヘイマンスはああしてずっと地面に寝そべっているのだ。周囲を確認すらせずに戦闘になってみろ、あいつを守りながら戦うなんてできない。」
「そもそもその認識が間違っていないか?ボプ・ポプマ殿、ヘリット・ヘイマンス殿があのように地面に伏せた時、敵に・・・・ダンジョンにおいては魔物だが、襲われた事があったか?」
はっきり言おう、精霊達が全て危険を取り除いてくれているから俺自身が魔物と直接戦った事って実は一度もないんだよな。
だから何故このタイミングで・・・・最初はエレンの武具狙いかと思っていたが、なかなか尻尾を出さないから・・・・は!まさか俺の装備か?装備が欲しい?
しかし何故俺の装備に興味があるんだ?大した物は持っていないぞ?
何せダンジョンのボス部屋は、ボスを仕留めるか中に入ったパーティーが全滅するまで入り口、若しくは出口が開かない。
そして万が一パーティーが全滅すれば、その時持ち込んだ装備一式や持ち物がその場に残るって話だからな。
だからボス部屋の前で俺を追放って事なのだろうが、これではエレンの武具は奪えないぞ?エレンは4人を相手にしても恐らく勝てるからな・・・・どうするつもりだ?
「・・・・何が言いたいエレン・エッフェン嬢。」
「・・・・君達の目的は一体なんだ?」
「エレン嬢、君が何を聞きたいのかよく理解できないが、私共としては君達の今後に期待していた・・・・だが期待外れだな。」
俺は何やら嫌な予感がした。
それに最初は俺の事だったのに、いつの間にか彼女とリーダーの言い争いになっていた。やはり目的はエレンか。だがここからどうするのか分からない。
今まで何度も冒険者達が詳細不明の死を遂げている・・・・このパーティーに加入している時に、だ。今俺とエレンがその危機にさらされているが、ここまで1カ月そんな素振りは無かった・・・・だからわからない。
そして俺はリーダーが何やら目配せをしたのを確認したが、気が付けば俺は背後から羽交い絞めにされていた。
「うわ!何をする!」
「まあそういう訳で、まずはヘリヘラ君、1人で行ってら―!」
俺はボス部屋に凄い力で放り込まれた。
その瞬間、ボス部屋のドアが閉まり始めた。
そう、ボス部屋のドアは、誰かが入ると閉まる仕組みになっている。それもある一定の所まで入ってから、だ。
「どうしてだ!」
彼女が叫ぶも俺は一人・・・・
「エレン嬢いいのか?彼は1人ボッチでボス部屋だぞ?」
「くっ!」
エレンは俺を追いかけ閉まりかけたボス部屋に滑り込んだ。
「うっひゃおお!!リーダー流石っす!ボッチをダシに旨い事やったっすね!あれでお嬢の装備は俺達のもんっすね!」
「ああ、何やら俺達の事を嗅ぎまわっていたようだが、死人に口無しってさ。で、ドアが空いたらアイテム回収って段取りさ。エレン嬢のアイテムは高く売れるに違いないからな!いや、あの剣は今後も使いたいな。ここまでこれたのもあの武器のお陰だろうし。あークソガキの事をかばうのは気持ち悪かったが、あの剣が手に入ると思えば何て事はないさ。」
「流石はリーダーだ!一生ついていくっす!」
壁越しにそんな声が聞こえた気がした。
そして俺は地面に這いつくばり、戦闘に備えようと思ったが放り込まれた時に頭を強打したようで、何だかはっきりしない・・・・ヤバいぞこれ。
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