糸と鎖

黒田十羽

【プロローグ】

 カーテンが揺れている。

 太陽の暖かな光線を、いっぱいに吸い込んだ、白。

 ゆらゆらと揺れ動く隙間から、風が流れ込む。

 風たちは、部屋の中を自由気ままに駆け巡り、やがて、私の頬に触れた。

 その心地よさに、気分が癒されていく。

 私は視線を落とし、目の中のふくらみに、両手をそっと重ねる。

 優しさと、愛おしさを込めて撫であげると、自然と零れる笑みが、確かな幸せを実感させた。

 私の中に芽生えた、もう一つの命――。

 あらたな息吹を感じながら、貴方に会える日を、待ち焦がれている。

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