修復スキルでアイテム無限使い回し!!!
@PDlion
ありがちな転生
「という事でみなさんにはここで好きなスキルを選んでいただきます。その後は各々異世界へ旅立っていただく事になります」
え?ちょっと何だここ?オレなんでこんな所にいるの?この真っ白な空間はどこ?
「あら?もう1人いらっしゃったんですか?」
ん?なんか向こうでお姉さんが話してるぞ?
「あぁー、確かにもう1人来ることになってましたねー。もしかして手違いで少し遅れていらっしゃったんですね?えぇーと、お名前は西片 柊吾さん?」
「そうですけど.......どゆことですか?」
周りを見ると他にも数人の男女がいて、何やらお姉さんの前にある、ふわふわ浮いた光の玉を見てる。すると次々とその光の玉を掴む。するとどこからとも無く現れた黒服にサングラス姿の男たちが1人ずつ別の場所へ連れていった。
何これ?新手の詐欺かなんか?
「あ.......ま、まぁいいでしょう。西片さんだけちょっと遅くなってしまいましたが、1から説明しますね」
気が付くと周りの人はみんな居なくなってオレだけが残っていた。
「さて.......ゴホン。改めまして、私『トランスファーセンター』の派遣担当です。まぁ神様みたいなもんだと思ってください」
ずいぶんな自己紹介だな。
「さて西片 柊吾さん、たぶん意識してないと思いますがあなた死にましたから。そして転生するんです、これから」
「いやいやいや、ちょっと説明雑すぎない?」
「いやまぁ、私も今同じ説明したばっかりですから。立て続けに2回って、ねぇ?」
そこはちゃんとしてよ。
「で、我々『調整者』の判断として、あなたは別世界へ転生する事になりました。なんでかってのはまぁ、端折りますね」
「いやそこ大事なんじゃないの?」
「いーの!大事じゃない!大事なのはスキルの話でしょ!」
「えぇ.......なんかすいません.......」
「そう!新しい世界へ行くに当たって、あなたには素晴らしいスキルが与えられます!それを今ここで選んでもらっていたところです!さぁ!私の前の光の中から好きなスキルを選びなさい!」
さっきみんなが持って行ったやつか。スキルね、まぁ転生って言ったらそうだよな。って.......。
「目の前からって.......この2個の内のどっちかって事?」
「え?2個?あら、本当。ちょちょちょ!誰よスキル片付けちゃったの!?まだ選んでない人居るから!」
何やら揉めてらっしゃる。なんか手違いなのかな?
「え?そうなの?ちょっとー。ゴホン。ウンウン。えー、西片さん、さあこの2個の内のから一つスキルが与えられる事になりました!特別ですよ!」
「いやそれ、他の人がいいの持ってっちゃったし、なんなら残ったやつも間違って片付けちゃったんでしょ?」
「そうとも言えますが特別なんです!はい!じゃそれスキルね!ささ!転生先までササッと連れてっちゃって!」
いきなり黒服が2人現れてオレの両脇を固めた。
光の玉はよく見ると中に何やら文字が書いてあるのが見えた。
『スキル︰修復』
『スキル︰完璧お掃除』
いやこれ一択でしょ。しかしお掃除が完璧ってのも実は凄いのでは?でもこれから異世界で生きていくのに役に立つかって言われたらなぁ。
「こっちにします」
オレは修復と書かれた玉を指さす。
「よっし!じゃあさっそく異世界行きましょ!ささ!」
なんかやっつけ仕事だなぁー。黒服がチョイチョイって光の玉を指さしてる。あ、持てって事か?
はいはい、持ちましたよ。するとそそくさとオレの背中を押してどこかへ連れて行く。少し歩いたら不思議な場所へ来た。なんと地面に扉がある。これ開けたらどうなってんの?地下への階段とか出てくるの?
「心配するな、すぐに到着する。もちろんあちらに着いても不自由無い最低限のサービスはある。言葉や読み書きだな。折角手に入れた2度目の人生初だ。楽しむといい」
そうだな、折角だから楽しい人生にしたいなぁ。何だか楽しみになって来たぞ。
黒服が地面の扉を開ける。何があるんだろう?ちょっと覗き込んでみたら突然背中を押された。
もちろん扉の中に落ちて行く事になった。全く雑な仕事だ。
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