第6話 謎のスキル

おー、近くで見るとやっぱデカイなこの山。



「え~、あれの頂上まで行くの?疲れそうね、そうだ!《身体強化》使おっと」



おい、何さらっと魔法みたいなの使ってんだよ。



「私は神よ?ある程度の魔法やスキルは覚えてるわよ」



ちょっと待てよ、俺も何か魔法みたいなの使いてぇよ。



「仕方無いわね、『スキルオープン』って唱えてみなさい、そしたら目の前に経験値とかスキルが見れるから」



そんなのがあったのかよ、あったなら教えてくれれば良かったのに。



「テヘッ、ごめんごめん!」



殴りたい、この笑顔。



じゃあ試しに唱えてみるか。《スキルオープン》おおっホントになんか出てきた!



なぁ、アウラこのスキルの所にある《?????》って何だ?



「知らないわよ、バグった表記なんじゃないの?少なくとも私はそんなスキルは知らないし見たことはないわ。」



バグなのかなぁ、使い方も分からないし、放っておこうか。



「めんどくさいし早く登ってサクッと鉱石取って帰りましょ」



そうだなサクッと取って帰って装備作ってもらうか。



山へ登る道中、特にモンスターが出てくるわけもなく他愛も無い話をしながら登っていると。



「あっ!あれが言われてた鉱石じゃない?ほら、もうこの上に進む道もなさそうだし」



じゃあサクッと取って帰るか!



ガンッガンッガンッ



よし十分取れただろ、もう良いんじゃないかアウラ?



「そうね、こっちもそこそこ取れたわ」



じゃあ帰るか、そう思ったとき俺達の真上におかしな影が通った。影が過ぎると同時に凄い風が巻き起こり、背後にドスンッという衝撃が伝わった。そんな馬鹿なこと無いよな?



おいアウラ、大丈夫か?



そう言って俺は後ろを振り返る。そこにはワナワナ震えるアウラと大きな翼を持つ黒いドラゴンが鋭い目でこちらを見据えていた。



「ねぇカイト、もしかしなくてもこれってヤバいやつなんじゃないの?」



あぁ、これはもしかしなくてもヤバいやつだな、俺はアウラが喋る前に身体で悟った。



アウラ!今すぐそこから逃げろ!!!



「イヤァァァァ!、こんなの聞いてないわよ!!!」



それはこっちの台詞だ!取り敢えず走れ!



「もうこんなの嫌!《テレポート》!」



ちょっ!お前だけ何魔法使ってんだ!俺にも《テレポート》使ってくれよ!



「遠いのよ!ごめんなさいカイト、先に街へ帰ってるわね!」



ちょっ!何してんだ!ふざけんなよ、俺死ぬじゃねーか!



「ごめんなさ~~~い!」



そう言い残してアウラは帰ってしまった。



おいおい冗談じゃねぇぞ、このショートソードでこいつをやれだって?ふざけんなよ。



「グオオオオ」



今にも火を吐きそうなドラゴン。正直勝てる気がしない。



「グオオオオオオ」



うわああ、助けてくれぇぇぇ!!!



スキル《強制支配》発動



「グオオン」



物音が止まり恐る恐る目を開くとそこには何か物欲しそうにしているドラゴンがこちらを見ていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る