第2話大学を中退した英断
こんばんは。今夜のその時、羽弦は動いたのその日は、1999年7月15日とします。
羽弦はその時、大学1年生。前期を終え夏休みに大学を去る決断をします。
19歳の羽弦青年の決断の真意を公開しようと思います。
話はその2年前の高校2年生の時に遡ります。
1997年4月。羽弦青年は高等学校普通科の学生。理系を選択していたが、警察官になる夢を持ち、文系を専攻した。
学年では30位内をうろちょろする、どうも締まらない成績を修めていた。
当時の彼女との競争でかなり鍛えられたが、300人中10位が最高順位。
羽弦青年は考えます。大学進学は諦めて、地元の役所に狙いを絞るか?
しかし、周りは就職を良しとは考えていませんでした。
「羽弦は、大学で広い教養を身に付け、その時晴れ舞台で力を発揮しなさい」と。
彼は、猛勉強しました。
1998年6月、模試で目標の大学を設定すると、A判定を獲得する。
その地位に胡座をかくこと無く、羽弦青年は勉強を続けました。
そして、1999年1月、彼は目的の大学の法学部に見事合格。上京する事になりました。
羽弦青年、18歳の冬の話しである。
羽弦青年は大学に入学すると、あることに気付きます。
仕送りだけでは、到底生活出来ない。働かなくてはいけない。
教科書を買うお金すら無かったので、同じ高校出身の先輩から教科書をもらったり、同じ学部の仲間の教科書をコピーする生活。
羽弦青年は、個別塾講師、家庭教師、お好み焼き屋の3つのバイト掛け持ちで糊口をしのいだ。
しかし、在学の根幹を揺るがすある事件が。
実家の母親が病に倒れたのです。病名は、子宮ガン。
彼は、祈る気持ちで母親の手術成功を待ってました。
なので、母親は病院で多額の医療費を払わなくてはいけません。
大学は夏休み。それが、終わるまでに後期の60万円を大学に支払わなくてはなりません。
ここで、その時が来ました。
1999年7月15日、都内のキャンパスに出向き自主退学の届け出をしたのです。
大学側は、待ってくれると言いますが、その頃はちょうど、就職超氷河期。
羽弦青年は、退学すると言い張り地元に帰ったのです。
そして、間も無くアルバイトをしながら就職活動して、介護の職に就いたのでした。
当時を彼は、振り返ります。
「あの、決断は正解だった。悔しいが、あの時はその決断が人生を豊かにした。今の知識に対する貪欲さは、中退して挫折した人間以外は分からないであろう」と。
今は、名古屋で家族を作った。上手くいっている。
挫折しても、ハングリー精神を失わなければ、その人生は貧乏でも一流の精神であろうと。
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