伯爵家のペット〜ルナの輝かしき毎日〜
シグ
1話 ペットVSオーガ
人生はなにが起こるかわからない。
ただの農民が魔王討伐に参戦すること然り。
その結果命を落としてしまうこと然り。
生まれ変わり猫人族の少女に性転換すること然り。
伯爵家のペットになること然り。
◇
ベネット伯爵家には一人のペットが飼われている。
『一匹』ではなく『一人』である。
イタズラ好きで超絶プリティな絶世の美少女。そうこのルナ様のことだ!
「ル〜ナ〜?聞いてる~?」
「ひゃい。ひいへまふ」
さて、そんな超絶プリティなルナちゃんこと俺は現在とても危険な状況に陥っていると言える。
今、俺の目の前にはオーガがいる。
それも通常の雑魚オーガではなくユニークな変化を遂げたオーガだ。身長は俺より幾ばくか高く、領民には姫様やら伯爵令嬢なんて呼ばれているが、俺だけは知っている。
このお嬢の本性はオーガであると!
今もこの魔物は俺のモチモチほっぺをギュム〜と左右に引っ張るという恐ろしい攻撃を仕掛けてきている。
「ルナ?今失礼なこと考えているでしょ?」
何故バレた!?
このオーガまさか読心術まで持ち合わせているのか!?
「その反応はやっぱり考えていたみたいね。怒らないから言ってみなさい」
鎌を掛けられただと!?
まさかこんな知能まで備えているなんて、これだからユニーク個体は侮れない。
それはさておき、怒らないとな?
どうせ怒られないなら日々の雪辱を果たすためにもここでお嬢を煽りに煽ってやろう。
「はなふはら、へはなひて」
「よろしい」
ふぅ。ようやく俺のモチモチほっぺがオーガの魔の手から開放されたぜ。もしもとれたらどう責任をとってくれるんだ!
「ほら手を離したんだから話して見なさい」
お嬢が急かしてくる。さてどう煽ってやろうか。
「んっと、さっき考えてたのは、お嬢は領民には姫様とか伯爵令嬢とか呼ばれてるけどその実態はユニーク個体のオーガだ!とか考えてた。でもよくよく考えたらオーガって筋肉だけど胸でかいしお嬢とは全然似てなかっ…ミャッ!?耳が千切れる!?痛い痛い!!」
得意げに話していた俺だが、話の最中に唐突に訪れた猫耳の猛烈な痛みに一瞬で現実に引き戻された。
恐る恐る耳に伸びる手の元を辿って行くと…
「ミャァ!?」
魔王がいた。いや、それ以上かもしれない。
顔は笑顔そのものだが纏ってる雰囲気は魔王を凌駕している。前世で魔王と相対している俺が言うんだから間違いないね。
そんな魔王を凌駕したナニカは俺の耳を引っ張りながら顔を近づけてきた。
「誰が令嬢の皮を被った貧乳でユニーク個体なオーガですって?」
「お、お嬢?怒らない約束は…?」
「ふふふ。私がルナとのどうでもいい約束を守ったことがあったかしら?」
なにぃ!?それじゃあ俺は騙されたってことか!?
そんなの…そんなの…
「オーガ!貧乳!鬼畜!悪の親玉!」
「うるさい!サンダー」
「ミャアァァァ!?雷魔法!?」
室内でそれも超絶プリティな俺に魔法を使うなんて何考えてんだこの悪魔!!
あぁビリビリするよぅ…。
「そろそろ私が誰であなたがなんなのか教えこんであげるわ!」
「ミャッ!?」
今度は自慢のぷりぷりお尻を叩いてきた!?赤くなったらどうしてくれる!尻尾まで掴みやがって!!
その日ベネット家の屋敷では少女の悲鳴が響いていたとかいないとか。そんないつも通りの平和な一幕。
新しい登場人物
ルナ 12歳 猫人族
猫耳、猫尻尾、オッドアイがチャームポイントの超絶プリティな女の子。
水色の髪に左が黄色、右がピンクの瞳を持っている。
魔王討伐をした五英雄の一人、シスの記憶を持つ転生者。
魔銃をもたせたら敵なし。
前世からイタズラを仕掛けることが大好き。
前世での被害者は勇者。今の被害者はレイラ。
親はおらず、孤児院にいたのだが、なんやかんやあってベネット伯爵家のペットとなった。
なんだかんだお嬢のことが大好き。
レイラ・ベネット(お嬢)16歳 人族
金色の髪に蒼い目を持つベネット伯爵家長女。魔法、体術、学力全て高水準というハイスペック天才令嬢。
基本的に非の打ち所がないのだが、とある身体の部位の成長が一切ないことが玉に瑕。
本人も気にしており色んなオカルトを試しているが効果は出ていない。
なんやかんやあってルナを孤児院からベネット家に連れてきた張本人。
毎日のようにルナを叱っているが、なんだかんだルナのことは大好き。
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