第12話 その勇者、後輩のためにとんで行く


「加茂ブラザース!本戦出場おめでとう!そんじゃあ、その奇跡を祝して、かんぱーい!」


「「「「「かんぱーい!」」」」」


 『召喚呪術研究部』は俺たちが加入する形で、名称は正式に『天霧組あまぎりぐみときどき召喚呪術研究部』、略して『天霧組』になった。


 そして、新生『天霧組』メンバー7名と中等部組の準メンバー3名がいつもの部室、別名組事務所に集まって、メンバー全員の本戦出場を祝うパーティーを行っている。

 とは言っても、ジュースと菓子しかないがな。


「天霧く〜ん、私たち今凄く注目されてるよぉ!どよ、嬉しいかなぁ〜?」


 アルコールなしてもウザ絡みできるサラサ。


「実際、中くらいの席次でうろうろしていた拙者たち全員が予選突破でござる!」


「それに、みなさんがユキト先輩の指導した魔法を使っているって、中等部でも盛り上がっていました。」


「それじゃぁ、本戦のノルマはベストエイト!なのです!

 ノルマクリア出来なかったら、精神攻撃魔法かサラサちゃんの口撃こうげき三十分!なのです!」


「どっちも嫌ですしおすし。」


「なら、ベストエイト入れ!」


「それなんだが天霧あまぎり。すまんが、次のの土日、また俺たちを鍛えてくれないか?頼む。」


「ああ、良いぞ。放出系魔法なら、スズネも得意だから、スズネもサポート頼めるか?」


「お兄ちゃんのお願いなら、いつでもおkなのです。

 あっ!でもクルミちゃん、ミオちゃん、ゴメンなのです。イベント行けなくなったのです・・・」


「大丈夫だよ、スズちゃん。クルミちゃんと二人で行くから」

「そうよ、スズちゃん。二人て楽しんでくるわ。」


「二人とも、ゴメンな。俺の放出系魔法だと、多分ブラザース死ぬから・・・。

 そっか、お前ら死なずに耐えろ!そしたらスズネが行けるじゃんか。うんうん!」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「この前天霧氏、戦車もぶっ壊せるで言ってたお。俺氏は戦車より弱いンゴー!」

「クルミちゃん、ミオちゃん、ごめん!僕たちの命のために、スズネちゃんを貸してください。」


「「はい、モーマンターイです!」」



「だめだ加茂!一度の戦いで、二回も同じ攻撃を使うな!技を磨け!組み立てを工夫しろ!そして相手の動きを誘導しろ!」


 朝の8時からはじめて、もう5時間は続けている。既にブラザースはバテバテだが・・・


「す、すまん。天霧。少しでいいから、休ませてくれ・・・」


「しょうがないな。本来なら動けないと思ってからが天霧流(クソジジイ師匠の教え)の本領発揮なんだが・・・」


「お前、どこの修羅の国で育ったんだよ

・・・」


 スズネとサラサに軽くローストされた先輩たちも、既に半死半生。いい感じだな。

 まあ、死なない限り、ある程度は俺のハイヒールで何とかなるから、ここからもっと追い込むか!


「お兄ちゃんが、なんか悪いこと考えてる時の、素敵な顔なのですぅ♡」

「良き良き」


「はあ、てかクルミちゃんたち、楽しんでるといいなぁ」


「ユキトくん、それ何のフラグぅ〜?」


◇◇◇


 ―― 横浜 某イベント会場 ――


「クルミん!人多いね!」


「うん、ミオミオ。アイドルも来るそうだからかな?」


 学園でも目を引く可愛さの二人が、ちょっと背伸びしたファッションとのギャップに、イベント会場の男たちの目を引かないはずがない。


「ねえ、君たちどっから・・・ぶへっ!」

「ねえねえ、君たち芸能界に興味ない?自分○□芸能事務所の・・・」


「すみません。興味ありませんから。」

「・・・」


 ユキトに鍛えられたスルー力は、ここでも発揮された。


「あっ、クルミん!ここだよ、ここ!」

「やっと着いたね、ミオミオ!」


 そこは人気ユアチューバーのブースで、比較的年齢低めの子がたくさん集まっていた?


「「ピヨタン先生!」」


 子供たちの声援と共にステージに現れたのは、可愛いヒヨコのマスクを被ったボディービルダーだった。


「さあ、みんなぁー!ピヨタン体操、はーじめーるよー!」


 ロックな音楽に合わせて・・・ブートダンスが始まった。


 クルミちゃんとミオちゃんも、キレッキレのダンスで周囲の注目を集め、しまいにはステージでピヨタン先生と一緒に踊りだした・・・


◇◇◇


『電源と通信の遮断・・・実行!

 続いて通信妨害電波ジャミング・・・実行!』


 イベント会場の証明が突然消え、会場内全てのブースの電源が止まった。


「「「「キャー!」」」」


 暗闇のイベント会場内が悲鳴の渦となる。

 と、すぐさま内部電源に切り替わったのか、非常用の照明が点灯した。


 それと同時に、女性アイドルグループが歌っていたメインステージに、武装した男たちが上がってきた。


タタタタタタタタタ!


 会場内に銃声が響く。


「静かにしろ!我々は愛国解放戦線だ。大人しくしていれば、諸君に危害は加えない!繰り返す、大人しくしていれば、危害は加えない!直ちにその場に座れ!」


タタタタタタタタタタ!

「「「キャー!」」」


 そして再び天井に向けて、発砲した。

 

 会場の出入口にも、同様の武装をした男たちが現れて、逃げ出そうとする人々を銃で威嚇し制止した。


「諸君は、我々が日本国政府に対して行う政治的要求の人質となってもらう!」


「ミオミオぉ、怖いよぉ・・・」

「大丈夫だよ、私も付いてるから・・・」


 ピヨタン先生のとなりで二人抱き合って座り込むクルミちゃんとミオちゃんだった。

 この状況下で、大人しく体育座りしているピヨタン先生がシュールだ。


『『ユキト先輩ー!』』


◇◇◇


「スズネ・・・今、クルミちゃんとミオちゃんの声が・・・」


「お兄ちゃんは、二人と魔力パスで繋がっているので、二人の心の声が聞こえたのかも、なのです。」


 こういった時の勇者の勘は、疎かにしてはならないと異世界で取り返しがつかぬほど経験したから・・・


「分かった!

みんなごめん!クルミちゃんとミオちゃんが心配だから、ちょっと俺行ってくる!」


「ちょっとってユキトくん、横浜までここからどれくらい離れてるか、分かってるの〜?」


「そんなの関係ない!俺が行けると思ったら、行ける!」


飛行魔法フライ!』


「飛んだ・・・ユキト」


「ますます天霧氏が、ラノベヒーローな件定期!」



 俺は前面に円錐形えんすいけい魔法防壁シールドを展開し、高度1万メートル付近を音速を超えて飛行していた。


 横田ラプコン無管制?知らんがな!文句あんなら、F22ラプターでインターセプトしてみろ!


 奥多摩から横浜まで車なら2〜3時間程かかるところ、戦闘機と化した俺なら五分程度で行ける!


「ミオちゃん、クルミちゃん、待ってろよ!」



 横浜イベント会場上空1万メートル!

 肉眼で見るすべは無いのだが、俺には二人の魔力がハッキリと感じる。


 どうやら無事だ!


「よし、今行くからな!」


 俺は神級流星魔法【メテオ】のように、イベント会場に向けてダイブした!




*************


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