第10話
(……………………)
長い、長い沈黙が響き渡った。
俺は何も言えずにいた。これ以上何かを言ってもスライムを余計に刺激するだけかもしれない。そう考えるとさっきの言葉もいらなかったかもしれないが……。
(ねぇ、たとえ僕がみんなから嫌われててもご主人様は嫌いにならない?)
なんだ、そんなことかと安堵する。俺の答えはとっくに決まっている、
「当たり前だろ。俺とお前は仲間だ。」
(へへっ。そう、なんだ。そうだよね。)
思っていたよりはチョロかったとは言わないでおこうと思いながら俺はスライムのステータスを再度見ることにした。
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種族:スライム
状態:歓喜(診察の必要無し)
信頼度:あなたとの信頼度は十分です。いくらでも頼っていいでしょう。(頼りすぎは依存関係に発展するためやめておいたほうが得策でしょう。)
これ以上の情報は得られません。
ほかの情報はLv.が上がるごとに表示されます。
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なんか増えてる。
信頼度、かぁ~。これからは見たくない情報も目に見えてきてしまうのかもしれない。
でも、俺はこのジョブでよかったって思えた。
それが進歩だ。俺は誰に何を言われようがこのジョブを持っていてよかったと誇れる。
(一緒に帰ろう!!)
スライムに声?をかけられて我に帰る。
いつの日だろうかこのジョブのことで残念がっていたのは。例え勇者パーティーに関係なかろうと俺は人の役に立つことはできる。これこそが一番誇るべきものなのだろう。
「ああ、そうだな。でもどこに帰るんだ?」
そういや俺たちは森の中にいるんだった。
(あ……、ごめんね現実を思い出させて。)
なんか知らんけど勝手に同情されてるんですけど。
「もうここらへんで寝るか。」
もう夜も遅い。ここ付近ではあまり魔物と言った生き物の鳴き声が聞こえない。
まぁこんな開けた場所にいると狙われるからいないと思っているんだろうが……。
そうして俺たちは一夜をここで迎えた。
……――……
翌日……、俺たちを迎えたのは魔物などではなく、重そうな甲冑を着飾った兵士?だった。
「まさかな。あまり奥には連れて行ってないとはいえ生きていたとは……。」
話の内容を聞く限り俺はこの兵士たちにここに連れてこられていたらしい。
「まぁいい、見つかったから撤収するぞ、こんなところにいたらいくら命があっても足らん。」
俺は有無を言わさず例の兵士たちに連れて行かれた。
スライムもしっかり連れてきてくれていることからそこまで悪い人ではないんだろうけど……、あ、でも誘拐されてるから充分悪い人か。
そして俺が連れて行かれた場所にあったのは王都に行くための馬車だった……。
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