第8話
◇◇~スライム~
茂みから出てきたのはご主人様のことを狙うような悪い魔物なんかじゃなかった。
僕のことを悪い魔物として見ている僕の同族だった。しかも5匹も。
ピィ!ピッピッピィ(お前だな!よくも俺たちの同族をやってくれたな。この裏切り者が。なんて最低なやつなんだ)
僕は同族とは一生分かり合うことはできないのだろうか?
ご主人様を助けるためだったとはいえ僕がやったことは間違いだったのか?
そんなことを考えながらボーっとしていると5匹いっぺんに酸を吐いてきていた。
この酸を全て避けきることはできない。
というかあれ?なんで避ける必要があるんだろう?僕は悪いスライムなんでしょ?
そうか、僕はご主人様と一緒に暮らしたいのか。
でもご主人様はこんな僕と一緒に暮らしたいのだろうか。
こんな考えがずっと頭の中を巡っていた。
もう酸がこっちに放たれていることなんて気にしてすらいなかった。
そして僕に酸が当たった。
痛い、ヒリヒリする、体が溶ける
目の前に迫った「死」を前に僕は体を動かして同族に襲い掛かっていた。
体の中で同族が溶けていく気配がする。
こんなことをしてもよかったのだろうか?
迷い迷った末に僕はご主人様から離れることにした。
従魔契約のことすら知らなかったご主人様が僕のことを召喚できるはずがない。
僕は森の奥へと走っていった。
◇◇~レイヤ・ウィズレイド~
夜になって横になっていた。
今日のことを振り返ると呑気に眠ってばっかりではいられないからだ。
目が覚めて起きたらまた魔物がいました~!、とかになるとさすがに心臓が持たない。
時間が経ち、急に茂みからスライムたちが現れた。
そして俺のスライムと茂みから現れたスライムは戦闘を始めた。
俺のスライムは酸をその身に受け絶体絶命かと思われたが俺のスライムの体が急に膨れ上がり、茂みから出てきたスライムの体を容易に包み込んだ。
茂みから出てきたスライムを吸収した俺のスライムは何を思ったか急に森の奥の方へ去っていった。
この一連の出来事を見ていた俺は正直何をすればいいかわからなかった。
スライムを追いかけて森の奥へ入ろうにも魔物に会ってしまえば俺なんて瞬殺されるだろう。
それでもあのスライムは俺のスライムだ。
やはり見過ごすわけにはいかなかった。
スライムを追いかけるようにやはり俺も森の奥の方へ入って行った。
スライムの速さだったらまだそんなに遠く離れたところに行くことはできないだろう。
そしてスライムが何を思って逃走したのか……。
俺はすぐに知ることになる。
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