第6話
スライムは何も変わらなかった。
変わったところといえば色が濃くなったかな?ぐらい。
……いやそんなことはどうでもいいんだけど、え?何?期待しちゃったじゃん。
スライムは僕の心の中の葛藤など知らずにいつもと変わらない様子でウルフの前に立ち向かった。
ポヨポヨポヨン
いつもより多少しか、というかむしろ色しか変わっていないスライムは酸を放った。
何も変わっていないような感じはするがスライムの放った酸はいつもより速かった。
その酸はウルフの予想外をつき、初めてのダメージを与えた。
グルルルゥァ?
ウルフも相当に驚いている。自分の毛皮が酸を防いでくれると思っていたのだろう。しかしそんなことはなかった。毛皮は溶かされ、肉も抉れている。
うん、すごくグロい。何というかもう胃の中のものは全部吐き出したはずなのにまたどこからともなく吐き出せそうなぐらいには。
うん、このスライム強くね?
ウルフも予想外の出来事に驚き速攻で勝負を決めに来た。
ただそれは悪手だった。なぜなら動きが直線的すぎる。それならばスライムの酸の格好の餌食だ。
ウルフはスライムに攻撃する前に何発もの酸をその体に受け止め絶命した。
そして、スライムがこちらを向いた。出来事が出来事だ。すごく怖い。
(あのね、あのね悪いオオカミさんをやっつけたんだよ!)
スライムって純粋なんだな~、うんそう思っておこう。
(ありがとう、でもなんで助けてくれたの?)
俺の今一番言いたいことはそれだ。
(だって昨日僕のことやっつけなかったじゃん)
だそうだ。昨日のスライムと同じ個体だったんだ~、と思う反面俺はこのスライムを恐ろしく感じている。
そりゃあ目の前で自分より強い魔物を殺したんだ。
恐ろしいったらありゃしない。
(ねぇねぇ従魔契約、契約しよ。私のこと育てて~。)
かわいい。
よし、従魔契約するか~。
ちなみにどうやるかわからないんだけどな。
(しないの~?)
なんかこっちを見る目がウルウルしてるような気がする。
(やり方わかんないんだよね。)
スライムが触手みたいなものを体から出してきた。
そして、俺の指を少し切って、血を出した。
それをスライムが吸ったかと思うと体が光りだした。
(僕に魔力を流して~)
なんかよくわからなかったから体の中のあったかくなっているところをスライムに向けた。
すると、体の発光が止んだ。
(できたよー)
よくわからないが出来たらしい。
そうして俺らはこの森の中でサバイバルを開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます