第3話

◇◇~レイヤ・ウィズレイド~


俺は【カウンセラー】というジョブを持っていた。そして俺はそのジョブの可能性を求めた。

しかし、今のところ何の成果も得られなかった。得られたものと言えば『精神鑑定スキル』が最初からスキル欄に入っていたことぐらいだ。


そしてもう一つ俺は王都から招待が来た。ミレイヤの付き添いというものと、王への謁見、らしい。

まぁどちらにせよ俺は王都に行きたかったから喜んでいた。両親は至って平凡な夫婦で心配はしてたものの、王への謁見と聞けば俺のことを止めることは出来なかった。たぶん、ミレイヤの両親も行くからというのもあるのだろうが。




……――……


ユニークジョブが珍しいのはよくわかるだろう。でもなぜ王国はわざわざその人を保護するのだろうか。

それは至って簡単、昔ユニークジョブ持ちの人間がこの国を潰しそうになったのだ。

無論、王国側はこれに対して全力で対応したが戦闘系のジョブだったため、誰も敵わなかった。

そして彼は暴虐を尽くした後、あまりにも呆気ない最期を迎えた。寿命で死んだのである。しかし、彼が残した爪痕は大きく、国の予算の半分以上を再興に当てる羽目になった。

そのことがあり、国はジョブに関する規制を強くした。だから実際は勇者パーティーのことも信用していないし、ユニークジョブなんてもう数百年出ていないことになっている。

そう、なっているのだ。ユニークジョブというものが出ることは稀ではあるがなくはない。


つまり……。




……――……


王国側から迎えが来たのは丁度ミレイヤが出発してから5日後ぐらいであった。

何故かはわからないが、馬車は一つだけであり、俺の出発が優先されているらしい。

ミレイヤの時よりも多くの兵士たちが周りで護衛?しており、相当なことがなければ傷一つ付くことはないだろう。

両親もホッとしたようである。


そうして俺もこの村から出発した。馬車で揺られながらも俺は深い眠りに落ちていくのだった。




◇◇~??~


俺は王の勅命により、とある村にユニークジョブを持っているという少年を迎えに行っている騎士である。


急だが少し話をしよう。


昔、暴虐を尽くしたユニークジョブ持ちの人間がいた。


彼は魔王よりも甚大な被害をもたらした。


村を58個も焼き、王都に直接魔法をぶち込んだりもした。


ありとあらゆる点で規格外なその化け物はその晩年まで暴れ尽くした。


少し現実感が湧かないがこれは本当の出来事だ。事実、ユニークジョブ持ちの人間はここ数十年間いないことになっている。そう、なっておるのだ。実際はユニークジョブ持ちの人間は試練を与えられ、その後洗脳をするという最早人間としての扱いを受けることになっている。


そしてその試験というのも過酷なものであり、魔物の森に一週間放置される。

ユニークジョブを持っているだけの少年には魔物に対応する術を持たない。

だから今のところその試練を超えられたものはいない。


しかし、その歴史も時間が経ち、緩くなっているのだろう。


迎えに行く少年は聖女の付き添いも命じられているため魔物の森での放置期間は3日間だけだという。

それでも生きていられるとは思えないが我々はあのような歴史を繰り返したくはない。

よって殺すこともやぶさかでないのだが……しょうがない試練だけは受けさせることにしよう。


俺はこっくりこっくりとゆっくり寝ている少年に対してこう思うのであった。


そして俺たちは寝たままの少年を少し魔物の森の浅い場所に置いてからそっと馬車に戻った。

わざわざ少年を浅いところに置いている時点で俺も甘いのかもしれないな、と思いつつ俺は他の騎士たちと酒を飲むのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る