案内人

案内人

僕が明日の朝

僕が明日の朝　目覚ましの鳴る前に目を覚まし

僕が明日の朝　トイレに行って顔を洗い口を濯いで

僕が明日の朝　コーンフレークにバナナを入れて牛乳を注ぎ電子レンジで温め

僕が明日の朝　それをニュースを見ながら食べ

僕が明日の朝　髭を剃って髪を整え歯を磨き

僕が明日の朝　会社の制服に着替え

僕が明日の朝　バッグとアパートと車の鍵を手にしたまま

僕が明日の朝　玄関のドアをあける

その時に

玄関の前に一人の人間が立っていて欲しい

男でも女でも、そのどちらでなくてもいい

犬や猫や鳥だっていい

誰でも、何でもいい

彼らは案内人だ

僕を何処かへ連れていってくれる

会社の制服を着たままの僕を

何処か遠く、遠く、遠く離れた場所へ

僕のことを知る人、僕が知っている人が誰もいない場所へ

きっと素敵なところだ

僕はいつも祈っている

明日の朝　玄関の前に案内人が立っていることを