第2話 ガルディア王国到着
草原が広がり、1人が座れるぐらいの岩と大きな木を見つけたソウタは、
岩に座り込んで木陰で休憩をしていた。
「ねぇ、神さま。このまま北に向かったら王国が?」
木陰で涼みながら、ソウタは脳内の神さまに話しかける。
「あぁ、【ガルディア王国】って呼ばれる国があるはずだ。城下町もあるし、まずは王様に挨拶しとかないとな」
「王様に挨拶? なんで、このまま魔王までいけばいいじゃん」
ソウタの脳内で神さまのため息が聞こえる。
「はぁ、ソウタはバカか?」
「おい、露骨に悪口言うなよ」
「いいか? 今のままだとスライムにやられるだろ? だから王様に少しは資金を援助してもらわないとな」
「いや、誰のせいで、スライムにやられる羽目になってんだよ!」
「えっ?」
神さまはとぼけ始め、ソウタは少しイラっとした。
「ったく。あ、そうだ神さま、俺のステータス上限を外すって具体的にはなんなの?」
ソウタは思い出したように、神さまに聞いた。
「そうだな、説明してなかったな。口で説明するのもめんどくさいし、実践したほうが早いんだけど」
話をするのが面倒くさくなっている神さまの話を聞いて、ソウタは勢いよく立ち上がった。
「あのさ、めんどくさがってんじゃねぇよ。スキルとは違うんだろ?」
「うん、スキルとは全く別物、ステータスの上限を外すってのはその名の通り、ステータスの上限値が無いってこと」
「全部?」
「全部」
上限値が無い……か。
ソウタはまだ理解ができなかった。
ある意味チートなのかな?
そんな疑問を抱きながら、木陰で休んだソウタは移動を再開した。
ソウタが移動を再開して30分ほど経過したころ、遠くの方で薄っすらと街が見え始める。
「アレがガルディア王国の城下町【エンティオ】だよ、もう少し近づいたらどうだい?」
ソウタはワクワクを抑えきれず、少し早歩きになる。
更に歩くと、エンティオの入り口に到着した。
「うわぁ、これが異世界の街かぁ」
エンティオはソウタが漫画やアニメでたくさん見てきた光景だった。
レンガ調の建物がずらりと立ち並び、
ハーピィ、獣人、リザードマンなどの他種族が出店を開き、
旅の観光客を相手に商売をしている。
地面すれすれを滑空している車のような乗り物は近未来的で、
騒々しい音があちこちで鳴り響く。
飲食店も充実しているのか、
色んな所から食欲をそそるような匂いを醸し出している。
ソウタは初めての異世界の街を見て、興奮が止まらない。
「なぁ、ちょっとぐらい楽しんでもいいよね?」
ソウタの目はキラキラしていた。
「…ふぅ、ちょっとだけならね」
「やったぁー!」
ソウタはものすごい速さで街の雑踏に溶け込んだ―――
―――ソウタはまず、出店に並ぶイカの姿焼きに似た食べ物を目にした。
「うわぁ、うまそう!」
出店の前で物欲しそうに見ているソウタに店主が話しかけてきた。
「よっ、あんちゃん。この辺じゃ見ない顔だな。どうだい、1個食べていくか?」
「えっ、いいの!?」
ソウタが食べ物を1つ手に取ろうとすると、脳内で神さまが忠告してくる。
「ダメだぞ、ソウタはまだ金持ってないから」
神さまの言葉にソウタは思わず手を止める。
「っと、そうだった。ごめんまた今度にするよ!」
「なんでぇ、冷やかしかよ。買わねぇならとっとと帰んな!」
ソウタは店主に煙たがられ、少し嫌な気分になりながら、辺りを散策する。
しばらく散策を続け、一時間程が経過したころ、
神さまがソウタに話しかける。
「そろそろ、城に向かわなくていいのか? このままだと野宿だぞ」
「いけね、そうだった! えっと城はどっちだ?」
「このまま北に向かえば、門が見えるはずだそこまで行こう」
ソウタは神さまの言う通りに北に向かった。
しばらく歩くと、城門が見えた。
門はとても大きく、支柱は3階建ての家程もあり。
門の上部には石落としや、櫓が作られている。
門は閉められており、城を直接見ることができない。
両側の支柱には兵士が1人ずつ立っている。
「大きいな……」
ソウタが門に近づくと、兵士は手に持っている武器をソウタに向けた。
「とまれ! 何者だ!」
突然武器を向けられ、ソウタは驚き一歩後ろに下がった。
「あの、ちょっと王様に用があって」
「王に? 何の用だ、我々には報告が来ていないが……」
兵士たちは構えていた武器をおろした。
「えっと、実は俺は転生して……」
ソウタが転生という言葉を口にすると、兵士たちは驚いた。
「転生者か!? ……ここで待っていたまえ。おい、少しの間ここを頼んだぞ、王様に伝えてくる」
「はっ! かしこまりました」
1人の兵士が城の中に入っていった。
「大丈夫かな? ここで断られたら、俺野宿だよな」
ソウタは不安そうに呟く。
「う~ん、この感じはなくもないかな」
「おい、不安にさせるなよ~」
しばらくすると、兵士が戻ってきた。
「おい、王様がお呼びだ、失礼のないようにな」
そういって、兵士は門を開けた。
「いけたよ……」
門をくぐると、吊り橋がおろされている。
巨大な城が眼前に広がった。
城壁によって囲まれた城は高々とそびえたち、
周りは巨大な濠によって外部からの侵入を防いでいる。
まさにゲームとかでよく見る城そのものだった。
「とにかく、まずは王様の所に行かないとな」
「そうだな」
ソウタは城の中に入ってしばらくまっすぐ歩き、目の前にある、巨大な階段を上った。
階段を上り終えると、レッドカーペットが敷かれており、
大勢の兵士が列をいくつもつくり、道を作っている
そしてその先には、王座に座っている王様がソウタの到着を心待ちに待っていた。
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