こんな小説は読まない。どんな小説?

たなかは趣味ない

第1話 タイトルは大喜利だ。

 Web小説のタイトルとフリップ大喜利の回答は似ている、と思っている。パッと思い浮かぶ大喜利のイメージ「奇抜だったり個性に溢れているものが良い」という意味でも間違ってはないが、私が意図するところは「言葉(回答)の純度を高める」という意味である。


 以前テレビ番組で大喜利についてのこんな話がされているのを見たことがある。特定のシチュエーションでのセリフを考える回答で、「なぁ、◯◯◯」という回答の「なぁ、」という呼びかけが必要か?というものだ。

 自分が大喜利を見た経験でも長い前フリや無駄な説明のある回答は面白くないと感じることが確かに多い。どちらでも良いのでは?と思いがちなこのたった3文字も、笑いに繋がらないのなら削って回答の質を追求する、という点に凄く感心したことを覚えている。


 Web小説で読者が真っ先に目にするのは小説のタイトルであり、ほんの一瞬でその言葉を判断される。見る人の興味を得るにはその言葉の純度を限りなく高める必要があるという意味で、Web小説のタイトルと大喜利の回答は似ているのではないだろうか。


 私が最初に選ぶ「こんなタイトルの小説は読まない。」



1. タイトルが長い


 ここまでの前フリ話を全て無にする例である。私個人の感覚的にはタイトルは長くても20文字程度で、長くなればなるほど駄作の可能性が高い。

「モブだった俺が異世界に転生してチートで最強。美女たちに囲まれたハーレムを作ります。」みたいなタイトルだったら、このタイトル以上の中身は多分無いので本編は必要ない。



2. タイトルが文章だ


 最近の小説タイトルは大半がこれで、長タイトルと共存している。流行っているので仕方ないとは思いつつ個人的には好きではない。エッセンスを絞った場合にはおのずと名詞表現になりやすいと思う。ファンタジーの超王道も「ドラゴンクエスト」「Final Fantasy」である。

 この例に合うけど興味を惹かれたタイトルもあって「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」。年頃の男性の一人称視点であることが分かり移入しやすい、妹との関係が悪いが改善する出来事がある、のような物語自体への興味が湧くタイトルだと思った。ちなみに原作小説を読んだことは無い。



3. サブタイトルがついている


 「〜」などでサブタイトルが付いているが、大半は「1.」「2.」に当てはまるあらすじ表記が増えるだけである。



4. 【書籍化決定】とか書いてある


 宣伝したい気持ちはわかる。タイトルが一番目立つし、サイトによってはそこしか宣伝できる余地がないのかもしれない。ただカクヨムの場合はキャッチコピーや紹介文で宣伝できる欄もある。

 もし大喜利の回答でフリップの端に「◯月◯日ライブのブルーレイ発売です!」と書いてあったとする。正直ダサい。どうせ書くなら書籍の帯とかをイメージして遊んだ言葉にして欲しい。



5. 「Sランク」「S級」「SSR」とかのアピール


 作品内で勝手に作られたオレオレな尺度であり、「凄いこと」を表現するには便利かもしれないが稚拙に思う。作品内の世界観としては全然ありだがタイトルに書かれてると何ソレ感が強く、作者の盛り上がりに反して読者は冷める。



6. 流行りのテーマそのままの言葉入り


 「悪役令嬢」とか「ざまぁ」とか「VTuber」とか、少し前なら「異世界転生」とか。そこまで拒否感はないけど量産型作品の臭いがして、よほどあらすじに惹かれなければスルー。テーマは同じにしても作品の色がでた言葉をピックアップしたタイトルの方が魅力を感じる。



 私が読まない小説タイトルの例をあげたが、例に当てはまるのが必ず悪いものというわけではなく、大切なのは「言葉の純度を高める」ことをしたものか?ということであると思う。例に当てはまるものでも秀逸と感じるタイトルも多々ある。

 今までタイトルに力を入れてこなかった作者の方には、読者を爆笑させるような大喜利の回答を期待したい。

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