どこから片思い
ねあ
第1話 端から片思い
正直な話、どうでもいい。
人を好きになって、愛して、なんとなく人生を共にする。
それを当然の幸せと享受する人間を愚かだとも思わないし、否定もしない。私にだって人を好きになる瞬間は何度も訪れたんだよ。
なんでこんな話をするかって?
まあ、ちょっとした愚痴だよ。サボテンに向かってするのは流石にキモいとか思ってる?
世話してもらってるくせに、、、あ、水あげ忘れてた、ごめんごめん。
今の厚かましいのは聞かなかったことにして。
とにかくさ、恋愛って、レベルが上がれば上がるほど条件厳しくなっていくじゃん?付き合うのはいいけど財力がとか、たまに見えるだらしないとことか、もっといったら自分の子供のスペックなんか気にし始めてさ。
でもなんていうか、これ全部、一応生物学的にあってるじゃん?
昔は生き残るために強い人の遺伝子を残そうとしてたし、その生物学的な条件が、ブンメイハッタツを経て顔やら身長やらお金の話になったわけで。顔がよくて身長高い方がある意味生き残れるしね。
だから愛は無条件とか言う新婚ほやほやの偽善者芸能人夫婦とか見ると腹たつわけ。ブスでデブなお笑い芸人と結婚したけどすっごい幸せ感漂わせる売れないアイドルとかもね。
今「わけ」って2回いったよね。口癖なのかな。直さないと。なんか女版ひろゆきって言われて嫌われそう。
そういえばひろゆきってなんで結婚したんだろう。合理的に考えて結婚がありなのが面白いよね。もう結婚するしないでどっちが幸せか議論するのやめてさ、論破王がするんだから結婚が正しいよねって方向に進まないかな。それはそれで困るんだけどね、、、
なんの話だっけ。あ、そうそう。
それで全ての条件が一見生物学的に正解のように思えるけど、何個かはさ、絶対説明できない気がするの。
だから私の条件は、というか私が、普通の生物ではないような感覚になっちゃうことが何回もある。
ほんとどうしたらいいの。
自転車にけつした時にね、落ちないように掴まってきたの。別にその行為自体は何回もあるよ。けどなんか急にドキドキしてさ。でも別にホラーとかみてる時の背筋凍る系のドキドキじゃなくて、むしろあったかいって言うか。
あれ以来さ、大学の講義とか一緒の時、割と必ず近くに座るようにしてる。眺めるためにね。だって長いだけの授業中に教授のハゲた頭頂部眺めるよりはマシでしょ?あとほら、終わった後に後ろから抱きついてみたりさ、なにみてんのってそれを口実にほっぺくっつけてみたり。
で気がついたの。
ああ、私恋したんだって。
でもつい最近までこの感情を受け入れられなかったの。いや、気が付いていなかったってのが正しいかも。今までなんとなくで理想のタイプとか言ってきたよ。身長高いとか、犬系がいいとか。でもじゃあ実際にそんな奴が目の前に現れた時にさ、何も感じないってどうよ。おかしいでしょ?誰って?正孝よ。あいつめっちゃ背高いしスーパー犬らしい。びっくりだよね普段あんなにクールなのに。彼女とその話になった時笑ってしまいそうだったわ。とにかく私が普段話す理想っぽいやつと出会っても、波ひとつ立たなかった。
で、その時初めて、私は私を理解できた気がした。
さっきの話に戻るけど、生物学的に当てはまらなきゃだめな条件が私にはなくて、そのせいで私は生物じゃないのかもって思い始めてる。
だから理想のタイプは筋肉とか身長とか無い方がいいし、あれとか、ついてない方がむしろいい。財力は割と気にするかもだけど、少なくとも恋人の段階でそんなこと考えない。
すごい衝撃っていうか、浸透っていうか、このたった20年そこらの人生で、男が恋愛対象だと思ってた時期も含めると、人の1.5倍は恋してる。厳密には違うかもだけど、人口比率的にね。もはやちょっとした優越だった。
ああ、私はなんて恋多き人間なんだってね。ふふふ。
まあでも知らないことだらけで、興味湧いて調べたら、私みたいな人もマイノリティとか言いつつ割といるみたいでね、twitterとかでよく見るんだよ。
でもそういう人たちって私より辛い思いしてるんだよね。自分がそうなんだって気がついた時、ショックの方がデカかったって。病んで自殺した人までいるみたい。そういう意味では私は強いのかもね。
まあそういうネガティブな投稿見てるとさ、正直この人本当にそうなのかなって思ったりもした。自分がそうじゃないからね。
でも母になんとなくそれを言った時、過剰に心配されて半ば無理やり連れてかれたセミナーでさ、仲良くなった人がいてね。澪さんっていうんだけど、結構おしとやかでthe清楚系みたいな。で、澪さんがいうには、人と違うってことがそれだけで不安だったらしくて、寝れなくなったりずっとみられてる気がしたりして、病院にもかかったらしい。
同じ境遇とはいえ同じ人間ではないんだなって。あたりまえだけどね。
あれなんの話だっけ。あ、そうそう条件。
てかこれも2回目な気がする。口癖だとしたらなかなかユニークじゃない?気がついてないだけで案外つなぎのレパートリーって少ないのかもね。
そう、それでね。私の持つ条件って、ものすごい厳しいと思うの。細くて顔がいい女なんてたくさんいるし、身長高くて筋肉質な男だって結構いる。全体の何パーとかっていう話をすると少ないように思えるけど、実はそうじゃない。私の条件の方が圧倒的に少ない。
私の周りには思い出す限りざっと50人はいたと思う。何って、顔がいい女が30、背が高い割とマッチョが20。
でも私の条件に合う人はセミナーにいたあの8人しか知らない。あそこに行かなかったら、今でも私は見つけられていない気がする。
つまり分母がそもそも小さいの。
そして他の条件だって当たり前にあるわけだから、結構詰んでるのよ。
四つ葉のクローバーって探せばあるけど、六つ葉のクローバーって見たことある?
あるとすら思わないじゃない?
そういうことよ。
とは言え、とは言えどよ?アセクシャルとかじゃなくてよかったなって思う。
え、それは何かって?ほほう、さては君、LGBTQのお勉強が足りないみたいだね。仕方ない教えてあげるよ。
男にも女にも恋愛感情が湧かない人のことを言うのよ。恋をしないの、簡単に言うとね。
私って肉にアレルギーあるじゃん?男を肉、女を魚に喩えるとすると、私は魚は食べられるけど肉にアレルギーがある人。アセクシャルは両方アレルギーみたいなもんよ。
私はタンパク質がうまく取れないけどDHAとかはめっちゃ摂取できるけど、アセクシャルは両方足りないの。それって大丈夫なのって思っちゃうよね。
でもね、私も肉なしで生きていられることを考えると、割と大丈夫なのかもね。
あ、でもそう考えるとバイセクシャルって最強だね。両方食べられるんだから。
まとめるとさ、きっとあの子はなんとも思ってない。友達くらいにしかね。
でも私は夏姫が好き。あの白い肌とか150センチない身長とか、あの涙袋もね。
今度聞いてみようかな。美女はお好きですかって。ふふふ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます