第4話 練習 ~5歳編~

「今からお待ちかねの練習を始めます」

待ってないが……?バk……ゴホン!ちょっと頭が硬いのですね!了解致しました。

「酷くないですか?硬くないよ……?」

「いいから、さっさと練習メニューをください。時間押してるんで」

「何の時間が?」

「寝る時間が」

「……はい。えっと、今日から来年の今日まではずっと同じメニューです。内容は、表情と声を悪女にすることです」

ツッコミたいのが色々とあるんだが?一年間も同じのやるの?表情と声を悪女にするってどういうことだよ。

「いや〜なんかさ~悪女ってさ?表情が地味に怖くて、声すごく高くて、だいぶ……ちょっと嫌味混じってる感じするからさ、作らなきゃなぁ~って思って。」

理由が雑すぎる……!しかも悪女への嫌味が混ざってましたよ!だいぶからちょっとに言い直してたけど、本音バレバレだから!

「その、何言ってんのこいつ。さっさと練習内容説明しなさいよ。時間押してるんだよ、こっちは!みたいな顔やめて……?」

「あれ、ばれた?隠してたはずなんだけど」

「めちゃくちゃわかりやすかったけど……。まぁいいか!練習方法は……考えてないから自分で考えて☆」

「は?何言ってんの?普通は考えてから発表するもんでしょ?説明って何か知ってる?」

「え?説明するなんて一言も言ってないけど。シャトルが勝手に言ってただけだよ?それに、練習は人から与えられたのをただやるだけじゃつまんないでしょ。自分で考えてやるからこそ、やる意味を理解できて、大きな成果を得られるんじゃないかな?」

なんかいいこと言ってるように見えるけど、ただ単に考えるのめんどくさかっただけだと思うのは私だけ……?

「……よし!仕方がない!ものすごく凄いのを考えてやる!!」

考えないといけないのは『表情』と『声』、プラスして『言葉遣い』か。………………

「あの~?大丈夫?固まってから一時間たってるけど……」

「誰のせいだと思っているの!!!!そもそもなに!!!!一番最初の練習内容がこんなに難しいなんて誰も思いやしないでしょ!!!!ふざけないでくれる!!??あんたが急にこの練習方法を考えろって言われてすぐ出てくると思う!!??ねぇ!!??思いつかないでしょ!!!!こんな無理難題を五歳に考えさせるな!!!!」

「……合格です!!これから一年間練習免除!」

「はい?」

「今のね言葉聞いたら、もういいかなって思って。うんうん。さすが俺の娘、一日で合格しちゃうなんてさすが!て、いうことなのでゆっくりしてていいよ~!じゃあね~。」

私の、私の考えてた時間返せ!!そんなんでいいならさっさと言ってよ~!!!!

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