群雄割拠ー戦国最強決定トーナメントー
kuro餅
序章
第1話 1000年越しの
ー現代2600年、某所ー
カランカラン。
少し長めの外套をまとった客がドアを開け、それを知らせる鈴が鳴る。この心地よい音色は比較的小さなこの店の中を鳴り渡り、少し古臭い雰囲気とマッチして客にまるで故郷に帰って来た時のような安心感を覚えさせる。
『あの戦いからちょうど千年ですか...』
店の奥から薄い鼠色のコートを羽織った男が鈴の音がひと段落したところで客にそう声をかける。
『あぁ、そうだな...』
客はそう応えて、店の主人に一瞥をすると、迷いない足取りで男の横に座る。そしてこれまた迷いなく机の上に置いてあったホットラテを飲む。冷たくもなく熱すぎもしない。
『で、俺を呼んだと言うことは、ついにあれが完成したのか?』
『そうです。話が早くて助かりますよ。』
『そうか!!!ついに...。』
男がそう応えると客は椅子を倒しながら立ち上がった。先程店主は買い出しへ出かけたため、この店には男と客しかいない。そのためガタッという音が目一杯の余韻を残して男達の間を突き抜けた。
『やったな!!!××!!!』
そして、客は男の名前を叫び、喜びの感情をその大柄な体で大胆に表現した。
『はい!私達の夢がついに叶えられます!』
彼らの様子を見るにどうやら『あれ』という何かは余程大事なものらしい。
『これで私の研究が...はっはっは!!!君も一緒にどうだい?』
男は高笑いすると小さな箱を客に見せ、手を差し出す。
『ああもちろんだ。』
客は三度、迷いなくその手を優しく、しかし強い情熱を持った手で握った。すると、箱が輝きだし男達は光に包まれていった。
『これから始まるものは...千年前の今日に起こったことのように凄いですよ?』
『千年越しの関ヶ原か...言い得て妙だな...』
カランカラン。
主人の帰りを告げる鈴の音が誰もいない店内に色をつけるように鳴り響いた。まるでこれから始まる戦いの開戦を示唆するように。
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