あいつと酒を解き明かそう
薬壺ヤッコ
あいつと酒を解き明かそう
『ご乗車の皆様、1年前の事故による修理が完了しましたので、再度運行を開始いたします。安全運転に努め、快適な旅をお楽しみください』
車内にアナウンスが流れる。短くもなく長くもない。丁寧を追求したような退屈なアナウンス。
「確か、俺の席は…」
今日ために転売人から買った指定席のチケット。それに書かれてある席へとゆっくりと移動する。
ここは1年前のあの時のままだ。ご丁寧に、完璧に修復してくれたみたいだ。席の配置、色合い、窓の大きさ。その全てが一緒。ただ、匂いだけは違うようだが。
「て、馬鹿か俺は」
あいつはもういない。探偵の助手はお終いなんだ。
今はただの一人旅を満喫中の一般人。そういう設定だろ?
「ここが俺の席か」
気持ちを切り替えよう。旅行を楽しむんだ。
席は1両目の右側列最後尾。しかも窓側。流れる景色を楽しもう。この天気だと、富士山がよく見えるかも。
席につき、座り心地を確かめる。
うん、ふかふかだ。善きにはからえ。
「あのー、すいません。…その席私のですよ?」
「え?」
ふかふかを確かめていたユウジに誰かが話しかける。
「あなたは通路側。だから、こっちだね」
女性だ。黒く伸びる髪が特徴の女性。何よりも黒いその長髪は手入れを怠らなかった証拠だろうか。真面目そうで、芯が強そう。それが、ユウジが抱いたその女性への第一印象。
「……なんで黙ってるの?」
「あ、ああ。ちょっと待ってくれ」
ユウジは手に持っていたチケットに目を落とす。
うん、間違っていない。自分の席はここのはずだ。
「ほら、このチケット見てくれ。席は間違ってないだろう?」
ユウジはチケットをその女性に見せる。
女性はそのチケットを受け取り、自分のチケットと見比べて……自分のチケットをユウジに渡した。
「は?」
「はい、これでその席は正真正銘、私のものになった。さあ、どいてもらえるかな?」
「は?」
頭がおかしいのか?異常人なのか?自己中か?身勝手なのか?
「ねえー、早く代わってよー」
女性が駄々を捏ね始めた丁度その時。
『これより、新幹線が出発します。少々揺れますので、お立ちのお客様はお座り下さい』
車内アナウンスが流れた。
「…とりあえず、座れ。目立つ」
「はぁ……分かったよ。今回は諦めよう」
そう言って女性はユウジの隣の席へと腰を下ろす。
「うわ、これスゴ。めっちゃフカフカじゃん」
自分と同じ感想に思うところが無いわけではないが、無視して外の景色へと目をやる。新幹線が徐々に動き始め、景色が後ろへと流れていく。
駅のホームは新幹線の復旧を祝う広告や人でいっぱいだ。それに、警備も厳重でこの窓から見えるだけでも、警備員が8人は見える。1年前の事件が再度起こす事のないように、警備を強化したみたいだ。
「うわー、警備の数すごいねー」
隣の女性が、窓を覗き込む。
「おい、邪魔だ。大人しくしてろ」
「えー、君だって興味深そうに見てたじゃん。それなのに、私が見れないなんて不公平だ」
「だからって、俺の膝に体重をかけるな」
「私思うんだ。席を代われば、解決すると」
「却下する」
「だったら君は我慢しなくちゃ」
「それも却下だ」
「もー、我儘だなー」
どの口が言う、と言いたかったが我慢する。これ以上会話を続けてもこいつのペースに飲まれるだけだと分かったからだ。
何も言わなくなったユウジに、女性は「しょうがないなー」と言って大人しく自分の席に座った。
そのまま暫く無言の状況が続き、新幹線がトンネルに入った時。
「君は1年間、何してた?」
女性が唐突に口を開いた。
意味が分からない。
「イロハと別れて、何してた?」
イロハ。俺が3年間も嫌と言うほど行動を共にしてきた人物。
銀髪、赤眼の少女(歳は知らない)で、探偵という職をこよなく愛していた自称名探偵。海を越え山を越え飛行機から飛び降り遭難し自力で帰還などと、おおよそ普通ではない事を俺を巻き込んで行動に移る頭のネジがぶっ飛んだ探偵。
イロハとの思い出が頭を駆け抜け、現実に戻される。
イロハは、1年前の事件で死んだのだと。
「お前…一体…」
女性とユウジの目が合う。思えば、目を合わせるのは、これが初めてか。
「初めまして、ユウジ。私はハロイ。イロハの姉だ。君の泣きっ面を拝みに来たよ」
「あいつの、姉?」
初耳だ。あいつとは3年も一緒にやって来たが、そんな話は一度も聞いた事がない。
「まあ、数回しか会った事がないからね。君が知らなくても、無理はない」
よく見れば、顔も似ている。髪や目元は違うが、所々似ている。思い返せば、さっきからの自己中な行動もあいつとそっくりだし、俺が反応しなくなったら止めるのもあいつみたいだ。
「それで、あいつの姉が一体何のようだ?」
「こらこら、私の名前はハロイだ。あいつのお姉さんなんて抽象的に呼ばないで欲しいな」
「…ハロイさん」
「うん、よろしい」
言いにくい。何だハロイって。偽名か?
「それで、私が君に会いに来た理由だけどね。実は君には私の助手になって欲しいいんだ」
「それは、何の助手で?」
「もちろん探偵ハロイの助手さ」
また探偵の助手か…。お断りです。
「おこ————ゥグ!」
「はい、お返事はいりません」
ハロイが手に持っていた饅頭をユウジの口の中に捩じ込む。
咽せるユウジを尻目にハロイは続けた。
「どうせ返事なんか関係無しに、今から手伝って貰うからね」
また訳のわからない事を言っている。
だが、次の瞬間にはハロイが行っている事が理解できた。
事件が再発する。
不意にこの車両に誰かが入ってくる。
男だ。身体がゴツく身長も高い。顔はマスクによって覆われていて見えない。
その男が電動ノコギリを掲げ、一番前、つまり運転席の方へと歩いていく。
そして、ノコギリで運転席に通じるドアの鍵を壊し、侵入した。
悲鳴が聞こえる。それと、血肉が飛び散る音。
車内は一気にパニック状態に陥った。
「み、皆さん。逃げて下さい!」
車内アテンダントが叫びながら逃げる。それに釣られて、他の乗客も後ろの車両へと逃げ始める。
「おい、まさかこれって」
「流石、元イロハの助手。察しがいいね」
気が付けば、他の乗客は全員この車両から離れ終わった。ここには男とユウジ、そしてハロイだけがいる。
「1年前の……あの事件の再来だよ」
1年前の事件。新幹線の脱線事故。
時速200kmで俺とあいつが死に別れた、テロリストによるテロ事件。
あいつが阻止し、あいつ犠牲によって人々の記憶に残らなかった事件。
それが、もう一度起ころうとしている。
「私が、普通の探偵だったら君には逃げてってと言うんだけどね…」
ハロイは、ごめんねと続けた。
「君には、私と一緒に命を賭けて欲しい」
その姿が、かつての探偵の姿と重なる。
あの自分勝手で、助手のことを大切にしなくて、金遣いが荒いくせにたまにギャンブルで大勝ちするし、酒が大好きで、酔ったらクソ面倒なあいつと重なった。
「今度は、最後まで付いて行くからな」
覚悟は決まった。
まあ、元から俺は探偵の助手から離れる事は出来なかったんだ。
だから、決心できた。覚悟を決めることができた。
探偵の助手を続ける。
「ふふ、ありがとう」
ハロイは微笑み、ユウジから視線を外す。
その視線の先には男が立っていた。男は血に汚れ、黒の服が赤黒く染められていた。
男は血に汚れた電動ノコギリを構え、血が飛び散る。刃を濡らしていた運転手の血液が周囲を汚す。
ハロイは一歩、男に近づき嘲りと哀れみの目を向けた。
「随分と、疎かな計画だね」
ハロイが言い放った。
「まあ、仕方がないか。あの事件で、あなた達の仲間はほとんど捕まえられた。無事だったのはリーダーのあなたぐらいなのかな?」
男は何も言わない。男はガスマスクのような物を付けているので、表情が分からない。だが、ノコギリを握る手に力が込められている事から、ハロイに殺意を抱いている事は確かだ。
「今度こそ、捕まえる。覚悟して」
男とハロイが動いたのは、ほぼ同時。しかし、決着は一瞬。
男はノコギリを振りかぶり、ハロイは男の懐へと潜り込む。
男がノコギリが振り下ろそうとするが、その前にハロイは男の肘を打ち、骨を砕く。
手放されたノコギリは重力に従い落下し、ハロイの拳が男に向けられる。
男は運転席まで吹っ飛ばされた。
「…強すぎない?」
「まあ、これぐらいはね」
ハロイの完全勝利。
ユウジの目にはそう見えた。
しかし、ハロイは「けど、」と警戒を続け。
「本番はここからだよ」
そう言い放った。
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
「ころすころすころすころすころす」
ドス黒い叫びが車内に充満する。
声の主はもちろん男からだ。
「ころす」
エイリアン。
今の男を表すにはその言葉が適切かも知れない。
ハロイに骨を砕かれた腕は触手のように揺れ動き、膨らみ萎むを繰り返している。また、吹き飛ばされた事が原因か、マスクが外れて素顔があらわになっていた。だが、およそ顔と呼べる物は存在していなかった。顔が在るべき所には、口が不規則に幾つも付いていた。
その口が各々違う事を喋り出す。
「お腹空いた」
「許さない」
「あいつ、知ってる」
「におい、する」
「ころす」
「ぐちゃぐちゃ」
「捨てよう」
「ねたい」
「うるさい、だまれ」
「時間、ない」
「おれのかち」
「むだむだ」
ユウジは頭がおかしくなったのかと、自分の正気を疑った。
およそ人間ではない生物を見たのは、これが初めて。イロハの助手になって3年間も行動を共にしたが、こんな生物は見た事がない。
「気味が悪い」
「早く慣れてね。今後、私達が相手するのはこう言うやつだから」
エイリアンの正面に立つ2人だが、ユウジの方は既に限界のようだ。
「さあて、第2ラウンドはじめ—————」
始めようか、とハロイが言おうとした時。突然、後ろの車両から爆発音と悲鳴が鳴り響いた。
「…助手、もしかしたら後ろにも敵がいるかも知れない。そっちは任せる」
「……分かった。死ぬなよ?」
「大丈夫、私はもう死なないよ」
それだけ言って、ユウジは後ろの車両へと向かう。
この場には、ハロイとエイリアンだけが残った。
「さてと、このまま計画通りに進んでくれるかな?」
「「「「「「「しね」」」」」」」
エイリアンとハロイの第2ラウンドが始まった。
また、その一方でユウジも仕事をしていた。
「これは……」
人はいない。が、混乱していたのか荷物は散らばっており、嵐の過ぎ去ったようだ。また、この車両の窓が所々割れていて、外からの空気が入って来ている。もう一つ後ろの車両も見るが、同じように荷物が散乱し、窓ガラスも割れている。
「なにか、変だ…」
なぜ、窓ガラスが割れているのか。
もし、あのエイリアンの仲間がいてここで暴れたのなら、乗客の血や死体が残っているはずだ。しかし、そんな物は何一つない。ここで見つけられる痕跡は、乗客が慌てて後ろの車両へと走った痕跡のみ。
「あの時とは、ちょっと違うな」
あの時とは1年前の事件を指す。
その事件では、当然ながらエイリアンはいなかったが、6人のテロリストが暴れていた。まあ、イロハの策略によって、リーダーを除きテロリストは乗客に知られる事なく捕縛した。
だが、そのテロリストどもは運転装置のブレーキを破壊し、加速し続けるよう細工していた。もうその時点で、新幹線を安全に止める事は不可能だった。
だから、イロハは決断した。加速し続ける先頭車両だけを切り離し、2両目以降は自然に止まるのを待つ。そして、先頭車両に自身が残って、他人を巻き込まない場所で脱線させると。
それがあの事件の概要だ。
あの時、俺はイロハの助けにはなれなかった。テロリストとの戦いで負傷した俺は、2両目に寝かされていたからだ。イロハは1両目と2両目の接続部分を切り離したのだ。
そこまで思考が追いついた時、ある一つの可能性が浮かんだ。
「そうか、そういうことか」
今起きているこの現状が、あの事件の再来とするなら。
2両目、3両目の窓ガラスが割れているのは—————俺を誘き寄せるため。
その考えにユウジが辿り着いた時、事は起こった。
爆発音。先頭車両から、爆発音が聞こえた。
「やっぱりな…!くそ、間に合え!」
おそらく、ハロイは1年前と同じ事をしようとしている。
車両を切り離し、俺を避難させ、自身の身を犠牲にしようとしている。
そうはさせるかと、ユウジは先頭車両にへと走る。
自分がそこに行っても、あのエイリアンに勝算はないし、この新幹線の止め方すら分からない。結局は、あいつに頼ることになるだろう。しかも、今起きている事は1年前あいつが自己を犠牲にするしかなかった事件だ。
死に行くようなものだ。
だが、それでも足を止める訳にはいかなかった。
あいつともう一度話がしたいから。
分かっている。
今いるのはイロハの姉、ハロイだ。それは決してイロハではないし、イロハになることもない。
……本当にそうか?
今までのハロイについて記憶を呼び起こす。
ハロイは最初から馴れ馴れしかった。
イロハは姉について何も言わなかった。
ハロイという名前。
エイリアンの言葉。
ハロイは1年前の事件を知っているような素振り。
そう、1年前の事件は国によって秘匿されている。あの事件が、テロリストの仕業だと知る物はほとんどいない。
いや、ただの偶然かもしれない。ハロイが、独自で調べたから知っているだけかも知れない。
だが、もしそうなら。
そうであって欲しい。
ユウジは離れて行く先頭車両に飛び乗り、扉を開ける。
「あ、助手おかえり。気づいたんだね」
そこにいたのは銀髪の探偵。
ユウジがよく知る、3年間ともに行動してきたこの世で最も大切な人。
「やっと見つけたぞ、イロハ」
ハロイは偽名。
黒髪の女性はイロハの変装。
姉と名乗ったのも全て嘘。
初めからイロハだったのだ。イロハの姉、ハロイなんて存在しない。
「この1年で、君の推理力も少しは上がったようだね」
「ああ。本当に…ほんとに、大変だった」
感動の再会、と行きたい所だが今はそれどころじゃない。
エイリアンと暴走する新幹線を止めないければ、再び死に別れるだろう。
「それで、どうする?策はあるか?」
ユウジがイロハに問う。
「ん?ああ、策ね。もう終わったよ。私たちの勝ち」
「は?」
イロハの背後。そこにはエイリアンが転がっていた。
両手両足は切断され、その辺に散らばっている。しかし、流石エイリアン。切り離された腕と脚は今でも動き、本体へと戻ろうとしている。
「さ、こっちに来て。最後の仕上げに移ろう」
「俺、何もしてないんだが…」
「別にそれはいつもの事じゃない?」
イロハがエイリアンの胴体を飛び越えて、新幹線の運転席へと向かう。ユウジも付いて行き、エイリアンを飛び越える。その胴体はまだ生きて動いていた。
運転席は悲惨な光景が広がっていた。運転手の血肉が飛び散っていた。
運転手の死体に手を合わせて、安らかな眠りを祈る。
「助手、その辺にある緊急停止ボタン押して」
「…どれだ?」
「その赤くて大きいやつ。そう、それそれ」
「ああ、これか」
これで事件解決。そう安心してボタンを押した。
ランプが赤く光り、新幹線の速度が徐々に落ちる————、なんてことは無かった。
「え、なんでだ?」
「あー、やっぱりそうなるか」
「何が起こってるんだよ」
「設計ミスか、あいつが何かしたかだね。…こっちもブレーキが一切反応しないよ」
「直すことは?」
「流石の私でも無理」
「俺ら、死んだ?」
「大丈夫、死なないよ」
状況は酷く不味いが、到着駅までまだ1時間以上かかるはず。その間に何か新たな策を用意すれば良い。
ユウジがそう考えた時、後ろからどず黒い叫び声が聞こえた。
「みつけた」
「あいつら、ちいさい」
「おれたちおおきい」
「ちびちび」
「たべたい、たべちゃお」
「おれのもん、おれのもん」
「すくない、もっと」
「つぶす、ぐちゃぐちゃに」
「おいしそう」
「しょうぶ、しょうぶ」
「しなない、ざんねん」
そこにはエイリアンがいた。
既に原型は留めておらず、膨れ上がった肉が通路を塞ぐ。数ある口は、絶えず喋り続け、俺たちを食べようとしているのか涎が流れ出ている。
「こいつまだ動けるのかよ…」
入り口を塞ぐほど巨大化したエイリアン。それを見たユウジは、怯えて震えるなどという事なく、ただその異様な光景を見ていた。今まで見たことのない光景に、恐怖よりも理解不能が勝ったのだ。
「なあ、どうするつもりだ?」
操縦席に座るイロハは、エイリアンを無視して新幹線を操縦しようと、名前すら分からないボタンを手当たり次第に押している。
メチャクチャに押しているように見えるが、イロハは計画的に押しているのだろう。
頼むからそうであって欲しいと、ユウジは心から願う。
そして、
「助手、私は君に聞いたよね。1年間、なにしてた…って」
「あ、ああ。…ちょっと待て、今はそんなこと話してる場合じゃないだろ。このままじゃ死ぬぞ」
「これが、この1年間の私の成果だよ」
操縦室のありとあらゆるボタンが青く輝く。
「すいっち〜、お〜ん」
次の瞬間、新幹線が停止した。
エンジンが止まり、慣性の法則によりユウジの体が引っ張られる。イロハがユウジを運転席に下に押し込んでいなければ、ユウジは外に放り出されていただろう。
それほどの衝撃を、エイリアンは味わった。例えエイリアンであろうとも地球の法則には逆らえない。慣性の法則に従い、エイリアンの体は引っ張られ、ガラスを突き破り、外に放り出される。
血を吐き出し、地面に何度も打ち付けられ、ようやく止まった位置は線路の上だった。
新幹線はまだ止まらない。
動けないエイリアンの目前に迫り、車輪が頭をすり潰し、漸くその動きが止まった。
頭を潰されたエイリアンは、生命活動を停止させた。
「これで私の完全勝利。予定通り進んでよかった〜」
「お前、もうちょっとマシな方法あっただろ…」
「いや、だってもう隠す気ないし。どうせなら、盛大に公表してやろうと思ってね。これだけすれば、SNSでも話題になるでしょ」
「俺を労う気は?」
「私は、その人の実績で態度を変える人なの。今回、君は何かしたのかな?」
イロハが意地の悪い、ニヤリとした笑みを浮かべる。
こういう場面いユウジは弱い。イロハもそれが分かっているから、ユウジが何も言えない事を分かっているから、ドヤァ顔で構えているのだ。
「よし、帰るか」
だから、逃げる事にしている。
「ふふ、そうだね。帰ろっか」
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