第515話 裏商会2

 シミリートが聞いてきた、北の小山で王国騎士団が発見されたという話はそれ以上の情報がないため、すぐに仲間達にがっかりされる。

「そういえば、魔術師団の人が随時送っていた手紙はあの後にどうなったのかしら?」

「だいぶ時間も経っているからルオルゾン領ぐらいには届いているわよね。王都には遠いけれど」

「じゃあ、ルオルゾン領の領都ヒマーセンやフスハレから軍勢が来たりするのかな」

「うーん、モンヴァルト山脈の魔物次第よね。流石に南方のステルビア王国を軍勢が通過してくるのは。時間がかかるだけでなく他国を軍勢が通るなんて簡単ではないだろうし」

「じゃあ、最近に発見されている王国騎士団って?」

「あ!」

「ああ、あの先発部隊の!」

「きっと、そうよ。魔術師団のフェルバー中隊長やニキアス副官を馬鹿にしていた騎士団のワイスブロットとかいう中隊長達」

「でも、フスハレの街から早々に居なくなっていたわよね。私達と一緒に山脈を越えていないのだし」

「南方で山脈を越えるのに失敗したかな。俺達が王都に行くときに少し南側のルートを通ろうとしても結局は諦めることになったように。となると、南方のステルビア王国を通って来たのかな。少数ってことで見逃してもらったのか」

「それともフスハレに戻って、そこから山脈に再挑戦したのか。もしかして山脈の魔物が減ったのかも」

「まぁどれも推測でしかないし、あまり関係ないから忘れようか」


 “選ばれた盟友”にすると、あまりいい思い出がない騎士団の面々のことよりも、トリアンの街を食い物にしている悪徳商会を潰して行く方が、親兄弟のためにもなるとの想いである。

「じゃあ次はここの店舗ね。東の港町にある店だから、なおさらやりがいがあるわね」

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