第514話 裏商会

 敵の侵入に対して派兵が難しいほどエードルフ・シャイデン男爵の裏商会などに攻撃を加えていっている衛兵団。その中でも特にマンファン分隊が目覚ましい活躍を見せている。


「こいつらのアコギなやり方は許せないよな」

「商売人の風上にも置けないわね。商品の質で勝てないからって、職人の腕を折る暴力に出て乗っ取るとか」

「こっちなんて、飲食店に暴れ者を入り浸らせて一般客が寄り付かなくなった店舗を取り上げたみたいね」

「噂では聞いたことがあったけれど、ここまで酷いとは……」

 先日のドレイクなどが居た屋敷で没収した書類を活用して、アコギなやり方の店舗へ取り調べに入り、そこでさらに追加の証拠を入手する、という芋蔓方式である。マンファン達では商売の帳簿などの書類の見方が苦手であるため、商家の娘であるカミラやゾフィを含めた“選ばれた盟友”が裏方で協力している。

 シミリートは武力で、ユリアンネは使い魔シルヴィスを用いた偵察などでも協力している。


「間接的にオトマンさんの敵討ちになっているのかしら」

「裏商会も闇ギルドも強引な徴集も裏であの男爵が糸を引いていたのなら、その男爵の一味に打撃を与えているんだから、きっとそうなるわよ」

「じゃあ、もっと頑張って、あの男爵に一泡吹かせてやるんだから」

「テアや私が誘拐されたのも裏ではあの男爵ってことでしょう?一泡どころか!」

「一泡って、物の例えよ」

「ユリ、流石に私も分かっているって」

 女性陣の会話に怖くて加われない男性陣は遠目で書類の運搬などの力仕事を手伝っている。


「そういえば、トリアン北方でも王国騎士団が発見されたらしいぞ」

 シミリートが聞いてきた情報に食いつく仲間達。

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