第500話 吸血ダガーの正体2

 王都の城壁外のガラクタ市場で入手した、錆びついて抜くこともできなかった黒い刀身の短剣(ダガー)にはベリスという悪魔が封印されていたと判明した。


「悪魔魔法や死霊魔法も習得して、さらには悪魔が封印されたダガーを持つ魔女」

「ちょっと、カミラ、変な言い方しないでよ!」

「ははは、冗談よ。でも事実よね」

「……。神殿かどこかに持って行った方が良いのかしら」

『なんだと!我が何をしたというのだ』

「悪魔が無実を訴えているわ……」

「まぁ確かに。人を殺した道具っていうならば、シミのショートソードの方が殺しているわよね」

「そんな言い方。でも確かにこっちの方がそうだな」

「そうだ。武器は身を守るためのものでもある道具なだけだ」

 鍛冶を営むヨルクの力説がツボにハマったようで皆が笑う。


「そうよね。確かに料理をする包丁でも人は殺せるし、このダガーの存在そのものが悪いわけでは無いわね」

「って言っても、これからどうするの?ユリを主と認める悪魔のダガーなんでしょう?シミが使い続けるの?それに、本当に使い続けるの?」

「う。確かに≪頑丈≫のダガーも買ったし、≪睡眠≫のダガーも入手したし、な。≪麻痺≫のダガーもあるから、怪しい≪吸血≫は使わなくても。いや、でも相手にダメージを一番与えるのは≪吸血≫だろうし、魔物の血抜きも楽なんだよな」

「私が持っていても多分使わないわよ」

「ユリがそういうならば、まだしばらく俺が使うか?」

『我にもっと血を。もっと魂を捧げよ』

「うるさいわね。だいたい魂って何よ?」

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