第485話 ドロテア誘拐騒動3

「なんか納得が行かないわね。こんなものなの?衛兵の扱いって?」

 まだ興奮がおさまらないカミラが、シミリートに突っかかる。

「そうだな。まずは事実確認が先だろうな。あっち側の1人が死んだのは間違いないし、こちら側は結果的には誰も怪我もしていない。人数も向こうは3人、こちらは6人」

「そんな。そのとき、こっちは女2人だったのよ。男3人相手で不意を突かれて」

「いや、衛兵の立場なら、どちらかに肩入れせずに事実を確認するしかないのだから」

「……。まぁ分かったわよ。シミ、ごめんね」

「いや、良いんだ」「それよりも、テア。無事で良かったよ」

「皆さん、心配をおかけしてすみませんでした」

「何を言っているの。テアは被害者なんだから」

「そうだ、俺こそ謝らないと。女性の2人組なんてさせたから。それで魔法使いのローブ姿の方が非力と思って狙われたんだろう。すまなかった」

「いえ、そんな。あんなに手荷物をいっぱいにして隙だらけだった私も悪くて」

「そうだ、あんなにいっぱいの食べ物、どうするつもりだったの?」

「はい、留守番になっていたジモさんへのお土産にして、料理研究の足しになれば、と」

「そ、そう……」

 ジーモントへのお土産を意識していなかった反省をするカミラたち。


 帰宅が遅くなり親たちから心配された一同。特にカミラの両親は、以前にカミラが誘拐されたときのことを思い出し、無事であったことに安堵している。


 翌朝、再び衛兵団の拠点に向かうために集合した仲間たち。

「ユリ、このダガーを鑑定してくれないか?」

「どうしたの?良いわよ、そのまま持っていて」

 言われるまま≪吸血≫ダガーを≪簡易鑑定≫するユリアンネ。

「ん?前のままよ、高級中位だし。もしかして品質が上がったか確認したかった?」

「なら良いんだ。俺の気のせいだろう。夜に手入れをしていたら『お前ではない』という声が聞こえた気がして」

「何?人を殺してしまって気疲れしていたんじゃない?」

「そうか……」

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